ブラック・ライヴス・マターなのかブラック・ライヴズ・マターなのか問題

ここ1ヶ月ほど世界の話題を席巻しているBlack Lives Matterブラック・ライヴス・マター。「黒人の命を軽んじるな」「黒人の命だって大切だ」という意味の運動ですが、もとをたどればアメリカで400年続いている問題です。6月19日は奴隷解放記念日なので、とくにデモが盛んなようです。

ここではライヴス」か「ライヴズ」なのかについてしっかり考えようと思います。いまのところ、「ライヴス」か「ライヴズ」で表記(と発音)が揺れているんですね。大手新聞などは「ライヴズ」表記。海外在住の方の寄稿記事はだいたい「ライヴス」。「ブ」か「ヴ」なのかは、V表記のちがいなので、基本的には同じなので気にしないでいいと思います。

「ライヴズ」にしている根拠は、私もtwitter でご指摘をいただいたのですが、辞書の発音表記です。[ laivz ]になっているから、という。これだと、確かに「ライヴズ」です。

なのですが。アメリカ人はほとんど「ラーイヴス」って言っているんです。CNNのアンダーソン・クーパーも、 デモのニュースのシュピレヒコールも「ス」。舌を歯の後ろに当てて発音出しています。

ここで面白い動画を貼ります。

そうなんです、アメリカ人も揺れているんです。「ス」と「ズ」の人がいる。で、ちょっと考えたんですけど、これ、漢字の「ますます」や「かかわらず」と同じ現象かもしれない、と。

ますます=益々

かかわらず=拘わらず

がもともとの正解でした。長く売文業をやっている人は、「増々」や「関わらず」という表記に違和感があると思うのですが、これ、しばらく前から「あり」なんです。もう、みんなまちがえているから、正解でいいじゃない、という。

「ライヴズ」が元は正解です。ただ、実際、ものすごーく言いづらいんですね。声に出して「ブラック・ライヴズ・マター」と「ブラック・ライヴス・マター」を言って、比べてみてください。濁音がふたつ続く「ヴズ」はカロリーをよけいに消費します。

まぁ、必ずしも言いやすさ重視というわけでもなくて、英語でも「アスク(ask)」を「アクス」と言ってしまう人は多いけれど、これは直さないと注意されます。

私はこの問題は5年ほど前に「耳で聞いたとおりに表記しよう」で自分のなかでは決着をつけたのですが、このまま行くと絶対に大学受験の英語や小論文で出題されるので、その時は元々の「ライヴズ」と書いたほうがいいでしょう。

両方正解ってなんだよ、って話になってしまってすみません。舌ったらずなtweetは消そうかとも思ったのですが、フライングした自戒を込めて、そのままにします。