NYでバーテンダーになろうと思った話 Pt.2

NYでバーテンダー・スクールは、案外、ポピュラーな存在です。「酒飲み for life」ではない私の周りだけでも、3人も行ったことがある人がいます。インターネットで調べてみると、マンハッタンだけで5校あることが発覚。

とりあえず、電話をして感じがよく、インターネットでもいいコメントが多かった3校を見学することに。ここで判明したのは、どこも生徒の勧誘に力を入れていて、セールス・ピッチが激しいこと。フリーの体験クラス(という名前の説明と勧誘のためのクラス)をやっているところもあれば、電話でのカウンセリング(という名前のセールストーク)もあり、前者は説明トークで散々煽ったあと、「今日申し込めば800ドルが600ドルに!」という強引な仕掛けでした。

あとから申し込んでも絶対割引するはず、と読んでその場を去り、あとの2校も見学したのですが、ほかの学校はなーんとライヴァル校の悪口を言うのが手口で、げんなり。あと、「空きがない」と最初は言って、あとから「何とか場所を作った」という連絡もどちらからも来ました。振り返ってみると、このバーテンダー修行の道のりで、学校選びが一番ストレスだったかも。フツーの日本人の感覚から言うと、どの学校も「怪しい」気になったのですが、お花やダンスを習うのとはワケが違うのだから、と、ひるむ心を奮い立たせて学校選びを続けました。

「Authentic Bartender School」のカウンセラーはトリニダード&トバゴの出身、音楽業界にもいたことがあって、共通の知り合いの話で大いに盛り上がりましたが、よかったのはこの女性との会話だけで、建物はボロボロ、クラスを覗いたときも暗—い教室に5、6人の生徒が座ってメモを取っていました。偽物の氷を使っているようで、実技面の習得に疑問があり。ここは、パス。

「仕事がバンバン決まる」というのが売りの「American Bartender School」は、設備もいいし、クラスも活気があったのですが、カウンセラーに問題あり。学費が900ドルと、ほかの学校より1.5倍もするので、その「差」を説明するのに必死の形相。私はこちらもいい大人だったせいか押し売りはされなかったけれど、翌週にクラスメートになったロシア系のアンナちゃん(21才)は「25ドルのチェックを置くまで返してくれなかった」と言っていました。学校のリサーチをしている時点で、「学校は誰でも行けるけれど、仕事が見つかるかは別の話」というので薄々分かって来たので、リクルートに力を入れているのは確かに魅力でしたが、

「11人のオペレーターが卒業生に仕事を回している」とシラーッと言ったひと言でいっきに醒めました。私が足を向けた時点で、受け付けのお姉さんとインストラクター2人、カウンセラーの4人しか働いていないのに(ということは、多く見積もってもスタッフは8~10人)、11人も職の斡旋をやっているワケがない。ちなみに、私はほかの学校で「就職を手伝うことで、学校は手数料が入るのか」という質問もすでにしており、「職場が合わなかったらすぐ辞めるような仕事なので、それはない」との答えを得て、仕組みを把握していたのもよかったです。

結局、体験クラスに行った「New York Bartender School」にしました。39丁目と6番街という場所も便利だったし、本物のバー仕様のクラスが2つもあったのが決め手に。この学校からも「今なら600ドルで大丈夫」という「やっぱり」なテキストは来たものの、最後まで悩んだ「American~」の「何とか席を空けた」と言いつつ、脅しのような電話勧誘が完全にマイナスに働いたというのもあります。

履修時間は40時間。一日4時間ずつ受ける2週間コースと、8時間ずつ5日間で終了する1週間コースがあったので、どうせならいっきにやってしまおうと後者にしました。金曜日に学費の一部を払って、マニュアルも受け取ったときは、新しいことを始める楽しみよりも、学校選びのストレスから解放されてホッとした気持ちの方が大きかったです。

続く。

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