Verzuz.TV テディVSベイビーフェイスの次はエリカVSジル

コロナ禍による自主隔離期間が長引くなか、インスタグラムやyoutubeで多くのアーティストがライヴ配信をしています。なかでもここ最近、大きな話題になったのがVerzuz.TVと銘打った対決シリーズでの、テディ・ライリーVSベイビーフェイス。Verzuz.TV はインスタ上でつないだふたりのミュージシャンがお互いの関わった曲をかけ合って、どちらが強いか競っていくルール。合間に思い出話や、相手の曲への感想のおしゃべりが入って楽しいです。テディさんとベイビーフェイス師匠は1980年代以降のブラックミュージックの土台となったふたりの登場とあって、注目度は抜群。... Read More

The Weeknd 『After Hours』のヴィデオ観た?

The Weeknd の4年ぶり4作目『After Hours』の快進撃が止まりません。ビルボードのHot100にアルバムの収録曲ぜーんぶ(!)14曲がチャートインしている異常事態。アルバムチャートも当然、1位。日に日にサバイバル・モードが強まる今日この頃、彼の美声はとてもありがたい癒しだから、納得です。同じ3月21日にリリースされたChildish Gambinoの新作は全曲解説をきちんと書いたので、このブログは軽くThe Weekndが昨年の12月から順番に公開している連作ヴィデオをナヴィゲートしますね。これが、よくできたホラーなコメディ。そうそう、4月17日に発売される日本盤で、先行リリースされた3曲以外の歌詞対訳を担当しました。だから、まぁまぁ詳しいですよ。... Read More

最高のクズソング2トップ 歌詞解説Pt.1 070Shake

ここのところ、本来の自分を見失いそうなほど、まじめな原稿をまじめに書き続けてしまいました。このブログでは、自分も読む人も息抜きできるよう、最新クズソングと2010年代最高のクズソングを愛を込めて訳し、解説しようかと。「クズソング」を定義すると、「自分の弱さ、ダメさ加減を包み隠さず歌っている曲」になります。クズソングの名曲は、なぜか一緒に歌うとスカッとします。... Read More

2019年にアリアナ・グランデ『thank u, next』が聴かれまくっている理由。

アリアナ・グランデの新作『thank u, next』が、もう大好きです。2月にリリースされて以来、ずっと聴いている。実は、このアルバムはアメリカほか全世界でもぶっちぎりで聴かれていて。リアーナとドレイクが持っていた最多ストリーミング回数の記録を抜き、ビルボードのホット100ではトップ3を同一アーティストが独占という、ビートルズが1964年に打ち立てた記録を半世紀ぶりに達成。... Read More

『サバイビング・R.ケリー』を観て。

『サバイビング・R.ケリー』、観ました。6回シリーズ全部。哀しくて辛くて、エピソード5では号泣して、どっと疲れたけれど観てよかったです。フライング気味で予測すると、9月に発表されるエミー賞(テレビ/配信版アカデミー賞)のドキュメンタリー部門は、制するんじゃないかな。... Read More

カニエ5作目:Teyana Taylor K.T.S.E

カニエ・ウエスト5連作の最後を飾るのは、R&B作品。テヤーナ・テイラー嬢のK.T.S.E(Keep The Same Energy/ティヤーナの方が発音近いですね)これがR&Bジャンキーには堪らない仕上がりで。1日3回服用中。一番好きなNever Would Have Made Itなんて、なんどくり返してもまぁったく飽きない。 ビヨンセ&ジェイ・ZのThe Carters、Everything is Loveより断然、こちらをよく聴いてます。レモネードは名盤、4:44も聴き込んだから、トリオロジーの締めがこれかー、って肩透かし。ベイチェラ(“ビーチェラ”じゃないよー。ビヨンセの短縮系はBeyで“ベイ”だからねー)で感動しすぎて、期待値が上がりすぎたかも(って、新作がこのタイミングで出るとは思っていませんでしたが)。まず、ジガさんの嫁自慢ヴァースがダサすぎる。ビヨンセがラップできるのはわかったけど「私のひひひひひ孫まで大金持ち」とかね、うん、知ってます。ボースティング(ほら吹き)はヒップホップの大切な要素だけど、それが事実ならただの嫌味だと思ってしまう私がひねくれているんでしょうか。夫婦漫才ならぬ夫婦ラップはDrunken in Loveがピークだったような。 一言。 ‥‥戻ってこーい、ジガさんーーーー(BK方面に向かって) by ジェイ・Z教信者。   あ、カニエ&テヤーナさんの話でした。   まず、テヤーナ・テイラーが誰か、から。カニエのGOOD Music所属で今回の連作一大プロジェクトに抜擢されたシンデレラ・ガール!!   ‥ではないです。27歳だけど、業界ヴェテラン。10代のときにMY Sweet 16というMTVのリアリティ番組でまず世に出て、それから音楽活動をしながらコリオグラファーをしたり、得意のダンスを生かしてダンス映画に出演したり、モデルをしたり。トリニダード系、ハーレム出身。すんっばらしいスタイルの持ち主(カニエのFADEのビデオ参照)。旦那はNBA選手のイマン・シャンパートで1児の母。ふつーに超超超勝ち組です、ハイ。   彼女のことは覚えていないけれど、MY Sweet 16という番組自体は覚えています。金持ちの娘が16歳の誕生日パーティーのためにわがままを言いまくって、大騒ぎする内容。ケーブルテレビ全体がリアリティTVに侵食されてから、アメリカ文化、およびアメリカ社会はおかしな方向に行った、というのが私の持論です。ちなみに、トランプ大統領が一般的な知名度を得たのだって、「お前はクビだっ」と暴れるリアリティTV。カニエとキムさんが仲良しだと知ったのも、Keeping Up Kardashiansで「お友達のカニエ・ウエストさん」という唐突なテロップとともに出てきた時でした。ちなみに、キムさんは前夫との結婚が終わっていないタイミング。まぁ、この話は別の機会に。   才能と美貌に恵まれたテヤーナさんは、「絶対有名になってやる」という決意とともに活動を続け、今回、実を結んだわけです。欲しいものは自分で手に入れるGo Getter (ゴーゲッター)タイプ。キムさんと同じなので、カニエさんが人間として好むタイプは一貫しているようです。   でもね。このアルバム、仮に、仮にね、「カニエ印」がなくても評判を取ったと思う。時間はかかったかもしれないけど。90年代、ヒップホップを吸収したR&Bが一番、元気だった時代のエッセンスを残しつつ、輪郭がくっきりと2018年という絶妙のバランスを実現した会心作。   では、サクッと曲紹介。その前に、カニエネタのブログ、たくさんの方に読んでもらえてうれしいです、ありがとうございます。それで、今回わかったことがあって。海外の著名メディアのレビューも、微妙に外すというか、「それちょっと違うんじゃ?」という箇所が必ず混ざっている。私自身を含めて、ライターひとりの見識ではカヴァーできないほど今回のプロジェクトは先を行っている、ということだと思います。   タイトル「K.T.S.E」はキープ・ザ・セイム・エナジーの略で、Yeでカニエがラップしていたヴァースです。   同じエネルギーをキープしろ=ブレるな。   了解です。   No Manners 韻を踏みながらは「(クラブ)コパカバーナに行って暴れるの。私、遠慮ないから」とラップに近い歌声でドスの効いた挨拶を入れています。テヤーナさん、アネさん系?   Gonna Love Me 大胆にデルフォニックスのFor The Love I Gave to Youを使った、一転して爽やかな曲。フォーク調の転調が入るあたり、インディア・アリーをちょっと思い出しました。インディアさんは来日してほしいアーティスト、トップ5に入ります。こういう抑え目の歌を聞かせるあたり、テヤーナさんも、かなりのヴォーカリスト。男女関係を続けていく難しさがテーマ。「自信をなくすようなことをしてしまったのなら、ごめんなさい」というラインがリアルです。旦那さんに宛てた曲かな?   Issues/Hold On ロマンティックなトラックにピコピコ音を持ってきてかなり変態なのに、歌そのものは正統派。Hold on hold on don’t let me go(私を離さないで)というフックの歌い方が最高。結婚式の二次会にかけるといいかも。   Hurry カリブ系としてのテヤーナさんの血がたぎっている傑作。これをシングルに持ってくるあたり、カニエ、完全に勝負に出ています。ふだん、レゲエやカリプソを聴いている人の耳にはスッと入るだろうし、それ以外の人は「よくわかんない」曲でしょう。アメリカのヒップホップ・メディアで低い採点をつけているところは多いけれど、私は最高だと思います。レゲエのリミックス出ないかなー。この曲だけ、カニエがラップで入っています。   3Way 「へぇ、カニエ組、こういう泣きのR&Bも作れるんだー」と驚いたら、ロドニー・ジャーキンズの名前が。納得。ブランディ&モニカ“The Boy is Mine”ほか、ここ20年の王道R&Bを作ってきた人です。ちなみに、ロドニーさん、めちゃめちゃいい人です。えー、“The Boy is Mine”みたいに女性2人と男性1人というシチュエーションですが、思いっきり下ネタ。3Pの曲。言葉がわからない方がいいタイプの曲。トーントトトーン♩で売れたシスコの歌い回しを投入していますね。絶対に結婚式でかけちゃいけない曲です。   Rose In Harlem 「ハーレム育ちだから」と、ハーレム道を説くハーコー曲。こそこそしない、ロイヤリティが大事、名指しで責めたりしない。テヤーナさん、気風がいいです。絶対、敵に回したくないタイプの女性です、ええ。   Never Would Have Made It 私のツボすぎて、この曲を聴けばマッサージもヨガも要らないと思うほど、全身がほぐれていきます。今年のベストソングかも、と思ったけど、まだ6月ですね。鳥の鳴き声からのいきなりの歌い出し、ピアノを伴奏にヴァースを歌って、いっきにゴスペルのクワイヤーを投入。ゴスペル・シンガー、マーヴィン・サップの同名曲を敷いて神様と大事な人への愛と感謝を歌っています。最後に幼いお嬢さんの声でしめる。チーム・カニエ、丁寧な仕事ぶり。今回のプロジェクトは奇襲をかけた形になっているけど、このアルバムに関しては手間暇かけている印象です。すごい完成度。これは、結婚式でかけたらとても素敵だと思います。 WTP Work this pussyって。挑発的な締めです。ナレーションを務めるのは兼ドラーグ・クィーンという異色のラッパー、ミッキ・ブランコ(彼のWavvyのヴィデオは必見)。Totalの曲を思い出すイントロから(どれか出てこないから、わかる人は教えてください)、レゲエっぽい節回しとハウス調のトラックを合わせて新鮮です。アウトロは、ハーレムでヴォーギングをするセクシャル・マイノリティーを描いたドキュメンタリー「パリは眠らない(Paris is Burning)」から引っ張っています。最後までハーレムにこだわるテヤーナさん、「誰もが知っているくらい有名になりたいの」という本音でまとめています。   あー、これで連作のすべてが終わってしまいました。毎週末、楽しみだったなー   NasのNasirは大切すぎて、またゆっくり書きます。一つだけ。「カニエのおかげでNasが復活」という捉え方も多いようですが、違いますよー。Nasはずーっと第一線。90年代のクラシックしか知られていない大御所が多い中、00年代のアルバムからもたくさんヒットあるし、2010年のダミアン・マーリーとDistant Relativesも2012年のLife is Goodも名作、ヒットも出しています。Distant Relativesはライナーを書いたけど、もう国内盤はないのかな。   話が逸れた。最後にテヤーナさんのゴシップをひとつ。彼女、出産後に減胸手術を受けています。胸が大きくなりすぎて生活に支障を来たすので、サイズダウンする人って、けっこういるんです。フィメイル・ラッパーとして先陣を切ったあと、女優に転身したクィーン・ラティーファもそう。   テヤーナさんが主演した映画のトレイラーを見つけたので貼っておきますね。今年、DVDでリリースされた映画ですが、撮影はずっと前のような気がします。もう一人の主演がテレビドラマ、エンパイアのハキームなので、お蔵入りになりそうだったのを引っ張りだしてきたような。   テヤーナさん、ダンスすごーい。観たいです。 テヤーナさんの映像、画像を見ると、腹筋をがんばりたくなります。割れてるなんてもんじゃない。... Read More

Sounds of Blacknessって知ってる?

ビルボードライブTOKYOでサウンズ・オブ・ブラックネスを見てきました。 決して派手ではないけれど、いまのブラックミュージックの屋台骨を支える重要な大御所、かつ大所帯のグループです。ゴスペルを土台に、リズム&ブルーズ(あえて)やファンク、一級のポップスまで聴かせるスタイル。半世紀近いキャリアがあり、アルバムをリリースした90年代からは全世界で活躍しています。 ブルックリンのフリーコンサートで見た時は、「ハレルヤ!」色の強い、黒人教会からそのまま出てきたようなステージでした。お客さんも教会の文化をよく知っている人たちだから、一体感がすごかった。私は少し、疎外感があった覚えがあります。 六本木でのステージはもう少しこなれていて、「Hold On,」、「Africa to America」といった自分たちの代表曲から、スライ&ファリミーストーンやプリンス!(さて、どの曲でしょう。プリンスの曲はハイライトなので明日行く人のために伏せておきます)の曲まで。7人のバンド、8人のヴォーカル、兼任ひとりという贅沢な布陣で、黒人音楽に詳しい人はもちろん、あまり知らない人も楽しめるステージ。 特筆すべきは、(ほぼ)メインヴォーカルのジェームシア・ベネット。ほぼ、と書いたのは曲によってリードを取る人が変わるから。ジェームシアは、アン・ネスビーさんの娘さんなんですね。アン・ネスビーはサウンズ・オブ・ブラックネスの元ヴォーカリストにして、ソングライターとしても有名。グラディス・ナイトやパティ・ラベルへ曲を書いています。それから、ビヨンセが出演したゴスペルを題材にした映画「ファイティング・テンプテーションズ」の原案者でもあります。 ジェームシアさんに話を戻すと、とにかくその迫力ヴォイスがすごい。ほかのヴォーカリストとの掛け合いもすばらしいので、明日、行ける人はぜひ。 それはちょっと難しいかな、という人は「ファイティング・テンプテーションズ」を週末に観るのもいいかな、と思います。 もう15年も前の作品なんですねー。ビヨンセ若い。  ... Read More