なぜ大スターが次々と逝ってしまうのか。

  東京で過ごす12月は、外はそれほど寒くないのに室内が寒くて寒くて、あと2回くらい冬を越さないことには肌が慣れないのだろうなぁ、と思っています。

 

 結果、大晦日&風っぴきのステキコンボ。ふぅ。

 

 2016年は大物アーティストのリリースが続いて、音楽的には豊かな年でした。アメリカの大きな転機とリンクして、メッセージ性の高い作品が多かった。セールスでは凄かったリアーナやドレイクが、ベスト・アルバムとしてあまり上がらないのは、黒人の命が粗末にされて、なのに超保守の大統領が選出された、この時期に能天気すぎるんじゃない? という空気があるからだと思います。ふつうの年なら、ふつうに評価された作品でしょう。

 

 アリシア・キーズとビヨンセのアルバムは、歌声やメロディーの美しさに紛れてずっしりと重いことを歌っています。あと10年くらいしたらヒラリーの次を行くんじゃないか、くらいの凛々しさ。その辺りを読み取りたかったら、ぜひ日本盤を手にとってください。そうそう。アリシアはとうとう、さりげなーくバイ・セクシュアルを認めました。正確には、「同性を好きになってびっくりしてるけれど、感情は正直だから」という歌があるのです。大騒ぎになると思ったら、「いや、みんな知ってたよ?」という反応なのか、それほど言われていないようです。

 

 年の瀬が迫ったタイミングで、ジョージ・マイケルも逝ってしまいました。53歳と若かったからびっくりした人も多いですよね。私もびっくりしました。数年前、彼の元恋人がAIDSで亡くなったニュースがあって、でも、ジョージは大丈夫そう、というところまでフォローしていたので(海外のニュースはかなり赤裸々です、はい)、なんとなく生命力が強いタイプだと思っていました。

 

 死因は特定されていませんが、心臓発作か心不全と言われています。それから、イギリスのデイリー・ミラー誌が、彼はヘロイン中毒に苦しんでいた、と報じました。

 

 59歳だったプリンスは、処方箋で入手できる強い睡眠薬の常用が問題だったようです。

 

 肝がんで69歳でこの世を去った、ディヴィッド・ボウイも70年代はミック・ジャガーが心配するほど多量のコカインを摂取していたそう。彼は、80年に離婚し、9歳だったゾウイ(いまは、ダンカン・ジョーンズと名乗って映画監督として活躍しています)の親権を得てからライフスタイルを変えて、クリーンになりました。30代半ばですね。

 

ユリイカのボウイ特集号。山本寛斎さんとミック・ロンソンの記事がとくに面白かったです。

日本では、イマンとステキな夫婦だったことはあまり強調されないのですね。アメリカでは、最近はその話題が多いです

 

 

 もう。

 

 いまでこそ、「芸能人がドラッグをやった、人でなしだ、犯罪者だ!」と騒ぎ立てる世の中ですが、さまざまなドラッグがどれくらい危険かわからなくて「なんだか元気になるらしい」と広まった時代もあるのです。日本だって、覚せい剤が「ヒロポン」と呼ばれ、強壮剤として軍人さんに配られた時代があったのです。中毒性や副作用がどれくらい深刻かわからなかったのでしょうね。

 

 60を過ぎた音楽業界ベテランのおじさまが、90年代にヨガに凝った、というので理由を尋ねたところ、「いや、その前にみんなでドラッグやっちゃったからさ、俺たちまずいんじゃない? って空気になって少しでも体にいいことをしようと流行ったんだ」と言われ、えーと、この場合の受け応えの正解はなんだー? と思ったことも。

 

 お酒と同じで、強い人もいれば弱い人もいて、手を出した人みんながみんなひどい中毒になるわけではなく、「ファンクショナル・アディクト」と言って、ハイになってもふつうかそれ以上に振る舞える人もいます。youtubeで「世紀のパフォーマンス」と言われる映像をよくよく見ると、目が泳いでいるし汗かきすぎだし、という状態が、たまに見受けられます。そんなの、見分けられてもちっともうれしくないですが。

 

 スパッとやめられるか、なんども戻ってしまうかは、意志の力だけでなく体質も関係ある、と聞きました。ジョージさんはどうもハマりやすかったようです。ここ数日間、彼の艶やかな歌声をずっと聴いています。寂しいなぁ、と思いながら。それでね、ロバータ・フラックの”The First TIme Ever I Saw Your Face”のカヴァーの完ぺきな歌唱を聴いて、08年の時点で一回天国に片足入れちゃったんだなぁ、と思いました。儚い、それは儚い歌声なのです。彼の声は、性別や性癖を超越した世界から出ていたのだ、と。

 

 ジョージ・マイケルは芸名です。マイケルはファースト・ネームに多い名前なので、子ども心に「ひろし・タカシ」ってこと? と不思議に思っていました。「なんか不思議な人」という勘は、あながち外れていなかったようです。

 

 「なぜ大スターが次々と逝ってしまうのか」というタイトルの答え。

 

 ひとつ目。訃報はインターネットで拡散されやすいから。昔から著名人は一定数亡くなっていたのですが(冷たく響いたらごめんなさい。でも、事実ですよね)、ひと昔のテレビや新聞の大メディアが報じる→雑誌などが追悼してゆっくり受け止める流れでなくて、インターネットでまず騒がれて、大きなメディアで真実かどうか確認する人が多いと思います。四方八方から亡くなったニュースが一斉に届くから、喪失感が大きくてこたえる。

 

 ふたつ目。ハードドラッグを通ったアーティストが妙齢に達し、健康に影響が出るケースが出てきたから。エホバの証人の信者でもあったプリンスに関してはその限りではないのですが、その彼にしても睡眠薬に頼っていたわけで。アメリカでは違法・合法にかかわらず、ドラッグが身近すぎるのです。

 

 

 日本は状況が違いますが、その代わりお酒に甘い。帰ってきてすぐ思ったのは、「気をつけないと、アル中になる」ということ。お酒が安いし、誘惑もいっぱい。私はアルコールに弱いし、洋酒以外は貧血を起こしがちなのはかえって良かったかも、と思っています。

 

 とっちらかった文章になってしまいました
が、長い目で見ると、何が影響を及ぼすかわからないので、体質も含めていろいろ気をつけた方がいいかもしれない、と思います。

 

 それでは、みなさま、良いお年を。

 

 

WE LOVE PRINCE IN FORTE GREENE PARK。スパイク・リーのオフィス前にも駆けつけました

 

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