DJ/セレクター考

コンピュータ音痴にとって、コンピュータがいつも通り作動してくれないことほど、恐ろしいことはありません。さらに、原稿を書いている間にフリーズって、書き進めた分に「さよなら」を言わないといけない瞬間ほど、情けない瞬間もあまりありません。

昨晩、その恐ろしくも哀しい瞬間を体験、ほかに知恵がないのでApple StoreのGenius Barを予約、重いデスクトップを箱に詰めてタクシーで運ぶしかないのかしらー、とオチていたら、そういえばいたんだ、コンピュータオタク/セレクターの知り合いが、と思い出し。珍しく都合が合って、ジャマイカ系なのに(失礼)時間通りに夜の8時過ぎにサクッと立ち寄り、見事に直してくれました。持つべきものは友達、それも一芸に秀でた友達(←ミスちゃっかり)。

彼はスパルタ方式で、何が悪いのか、どうすればトラブルを避けられるのか、買い足さないといけないメモリやハードドライブは何なのか、「自分で覚えなさい」と言いながら、全部教えてくれました。

半分くらいしか分からないながら、一生懸命メモる私。以前より調子がよくなり、音楽でつながっている仲間って本当にすばらしい! と悦に入っていたら……。
「あのね、こういうサーヴィス、一応1時間75ドルもらっているんだけど、君の場合、友達ってのもあるけれど、教えてた通りにこのCDの山(←私の所有品です)をiTunesに取り込んだら、そのデータを全部もらうからタダでいいよ」と言われ、私がフリーズ。

まーさーに、ただより高い物はない。

2時間強やってもらったから、200ドル弱払った方が早いんじゃ、と思ったけれど、相手にお金をもらう気がないのは分かっているので、言われた通りに宿題をこなさないといけないのです。おかしかったのが、レゲエの代表的なriddimごとに全部曲が出て来るとっても便利なサイトを教えてくれて、こういうことをやるのはドイツ人かイギリス人だねー、と笑いながら

レゲエのブログでみんなに教えていい?音符

と尋ねたら、

「絶対にダメ」

との驚きの答えが。そのココロは、セレクター/DJを目指す人や修行中の人が楽をするから、だそうで。それは考え過ぎでしょー、だってインターネットにあるなら、きっとみんな知ってるよ? と指摘したら、案外、知られていないサイトだそうで。「いや、日本人はけっこう知ってるって。知られているかどうか、知り合い2、3人に聞いてもいい?音符
と、食い下がっても、「絶対にダメ」。レストランでDJをしたところ、選曲をそっくりオーナーがコピって、若手のままかけさせていたのが後で分かった経験があるそうで、知識のシェアに関してはシヴィアになってしまったとのこと。なかなか世知辛いのう、と思いつつ、相手の気持ちを察してレゲエねたなのに、こちらに書いているのが私なりの気遣い。

でも…。同じ素材を使って同じ料理を作っても、シェフによって全然味が違うように、同じジャンルでだいたい同じ曲を使っても、DJやセレクターの腕によって全く違う経験になると、私は常々思っています。いやぁーなことを書けば、音楽がかかる場所に出入りしている期間と時間が長いので、上手い下手はもちろん、どれくらい音楽を知っているかも15分も聴けば察しがつきます。ブースが見えない場所にいても、前の人とジャンルが一緒の曲をかけてもDJが入れ替わったのに気がつくことも多い。こんな特技、どこにも何にも使えないけれど。

テクノロジーが発達して、確かに手軽にDJができるようになり、さらににわかDJも増えたものの、この人うまいなー、わかってるなーと思う機会は減っている気がします。

まぁ、上手い人は揃ってオタクな部分があるので、上記のような変な会話をしょっちゅうすることになるのですが。エラそうなことを書いている間に、iTunesの再構築をがんばれ、という声が聞こえた気が……。

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