エリカ・バドゥ「Worldwide Underground」ライナーノーツ抜粋

ライナーノーツの抜粋、Pt.2。

ライナーノーツだけれど、2曲しか聴かないまま締め切りを迎えたため(音源流出を怖れて、そういう事態になることはしょっちゅうでした)、アポロ・シアターのライヴレポートです。

デビュー前のYMCAの地下シアター(クラブ規模)や2007年頃にラジオ・シティでも観ていますが、彼女のパフォーマンスは圧倒的です。

では、どうぞ。

「5月17日、エリカは久しぶりのヘッドライナー公演をアポロ・シアターで行った。同じくテキサス州出身で、友人でもあるンダゥンビがオープニング・アクトを務めたこのコンサートは、“Love of My Life(An Ode To Hiphop)”でグラミー賞のベストR&B・ソングを受賞したばかりのエリカ・バドゥが次の新機軸を示すものとして注目され、ニューヨークでかなり話題になった。

アポロ・シアターは言うまでもなく、ソウル・ミュージックの殿堂として名高い。ビリー・ホリデーはもちろん、サム・クックやジェームス・ブラウンの写真が入り口から会場内の通路まで飾ってある。それら大先輩達が築いた伝統を受け継ぎ、育てながら、アーティストとして揺るぎのない地位とスタイルを築きつつあるエリカが、次のステップを披露する場としてアポロのステージを選んだのは、ただの偶然にしては出来すぎた話に思える。今でもこの歴史あるシアターは地元ハーレムになくてはならないヒップなスポットであり、水曜日の<アマチュア・ナイト>で広く知られる通り、観客もウルサ型だ。大体、働いている人達からして素敵。チケットを取りに行った時の、髪をキツく巻いた窓口のお姉さんの台詞。「ちょっと待っててね、スイートハート。あら、どうしてこんないい席が残っているのかしら。あなたに回してあげる、ラッキーガールね」。入手したチケットは、左脇に近いものの、前から3列目。チケットを取る段階から大いに盛り上がり、当夜、席についた時はbmrでの取材「仕事」であるのに拘わらず、気持ちがドキドキして華やいだ。

そして、大きなアフロのウィッグをつけたエリカが登場。白っぽいシンプルな衣装に身を包み、フルートやウッド・ベース、アフリカン・ドラムまで擁したフル・バンドを従え、いきなり新曲をぶちかます。これが、3枚目のアルバムからのファースト・シングルを予定されている“Danger”だった。エリカ・バドゥのコンサートは、耳になじんだ曲の演奏を楽しむ、などという生易しい体験ではない。果敢に新しい局面を切り拓こうとする前衛的なアーティスト、エリカの音楽的な試みに喰らいつくように聴き入り、実験の一部として参加することが要求されるのだ。ヒット曲の数々も斬新なアレンジが施され、バックコーラスやダンサーの配置だって常識破り。すべてを取り仕切るエリカの歌声の強さが、会場中をボディ・ブローのように打ちのめしていく。それが、たまらなく気持ちいいのである。音楽がもたらす高揚感、それを共有することでさらに高いヴァイブが生まれ、その渦に身を任すことのエクスタシーを改めて教えられたステージだった」

(左が『Worldwide Underground』。『Mama’s Gun』が2枚あるのは、再プレスがかかった時に、曲解説を書き足したからです。CDが大事だった時代ですね。担当のS田さんの仕事が丁寧だったのも大きいかな)

ユニバーサル・レコーズのエリカさんページです。

ビルボードさんの来日情報のページです。

楽しみすぎて、遠足前の子どもみたいになっています。

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