Raphael Saadiq –Stone Rollin’

3日の木曜日に、3月に4枚目のソロ作『Stone Rollin’』をリリースするラファエル・サディークのリスニング・パーティーがありました。

ミッドタウンのブティック・ホテル、ロイヤルトン・ニューヨークのバーの一部を貸し切り、ギタリストとベーシストに囲まれてのライヴ・セッションという素敵な設定。

池城美菜子的紐育日記~Minako Ikeshiro' s NY Journal

 

Tony! Toni! Tone’!から始まり、Lucy Peal、そしてソロ活動まで、彼が関わって来た音楽にはどれも虜になって来ました。トニーズの曲はクラシックが多いので、『Instant Vintage』でソロになったばかりの頃のライヴでは、どうしてもトニ・トニ・トニの曲をやって欲しい、と思ってしまい、本人もそれを見越しているかのように「トニーズ・タイム」を設けていたのですが。

それも必要ないくらいソロでのヒット曲が増え、前作あたりから「元トニーズの」という肩書きさえ要らなくなったような気がします。常に新しい音楽を送り込みながら、20年以上第一線にいる人ってなかなかいないですよね。

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この夜は、新作から6曲を歌ってくれました。「いままでサイコロを降り続けるように、ずっとリスクを取って来たから、ストーン・ローリンなんだ」とタイトルを説明するラファエルさん。確かに、もし、トニーズとしてずっと活動していたら、昔のヒットを中心にライヴを構成するような、手堅いけれどちょい「過去形」の人になっていただろうと思うのです。

新作は、ロックというよりロックンロール、そしてブルースの要素を入れ込み、前作の路線を踏襲しながら、さらに懐かしくて新しい音世界を追求している感触。ちゃっかり本人から2メートル以内のところで見ながら、音楽性ももちろんだけれど、甘さと野性味としなやかさが同居したこの人の歌声こそが、ずっとファンをやってきた理由かなぁ、と考えたり。

前作の取材で、「俺をジョン・レジェンドより新しいアーティストだと思っているような若いファンがいるんだよ」と笑って言ってましたが、まぁ、44歳の彼にとってはそれもほめ言葉かも知れません。
って、ここまで書いて、マンハッタンの44丁目の44番地という会場は、まさか年齢にひっかけて選んだのでは、と深読みをしたり。事実だとしたら、えらいマメな仕事をする担当者がいたものです。

池城美菜子的紐育日記~Minako Ikeshiro' s NY Journal

 

マメといえば、テーブルにリリックが刷り込まれた小冊子があったのも、心憎い演出でした。ちなみに、丸テーブルのちょうど向こうにレジェンド中のレジェンド、ブロンディのデボラ・ハリーが取り巻きさんたちと座っていて、度肝を抜かれました。あまりにシュールな光景で、気を取られ過ぎないでラファエルの歌に集中しようなどと、妙なことを考えたり。

トニーズ時代からオークランド代表、カリフォルニア産を標榜してきた人ですから、ライヴ・セッションでも西海岸からの風が運ばれて来たような。雪が多い今年のニューヨークでは、ちょっとしたごほうび体験でした。

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