先週末の出来事です。ちょっとややこしいので気をつけて着いて来て下さい。
登場人物は4人。私、B-1(弟分1、出自がトリニダッドで見た目インド系)、B-2(弟分2、イタリア系で見た目はアニメ)、Big-B(NYレゲエ界のビッグマン。たぶん、ユダヤ系。つまり白人。ってレゲエ通には誰かバレちゃった)。
備考:B-2はBig-Bのストリート・チームみたいなことをしています。
弟達は外でフライヤーをまきに、私は取材に、ブルックリンのマヴァードとセラーニ、ビューグルのダンスに行く、というのが大枠でした。二人が中に入って来ららみんなでビールを引っ掛けようねー、という遊びに近い仕事だったわけです。
プラン: 12時にニュージャージーに行っていたB-2が、帰りがてらクィーンズとマンハッタンの2カ所(!)でダンスをキープしていたBig-Bからフライヤーを受け取ってB-1と合流、私を迎え来て1時半前に会場のC-Pacに到着。この時間でも早い方なので、フライヤーもまけるし、私のパス受け渡しも問題ない、ハズ。
現実:1時過ぎにやっと連絡が来て、B-2がマンハッタンのダンスで足止めを喰らっているとのこと。そちらが人手不足になり、Big-BがB-2に居残りを命令、ブルックリンはB-1に任せたい、とのお達し。ここで問題が。B-1は別にBig-Bの元で働いているワケではなく、友達の仕事を手伝っている感覚でフライヤーをまいているだけなので、マンハッタンまでフライヤーを取りに行く義務はなく、
「すっげぇ面倒くさい」
と電話口でぶちまける。まぁねぇ。1時45分にとりあえず迎えに来てもらって、マンハッタン・ブリッジの前で作戦会議。
私はB-1の「面倒くせぇモード」を理解しつつ、こういう時にBig-BがB-2にかけるプレッシャーたるや、ハンパないことも知っていたので、なるべくならB-2を助けようと説得。折しも、セラーニのマネージャーから「ステージ登場は3時半」とのメッセージが入り、「1時間で往復してB-2を助けようよ!」と、つまらん姉御肌を発揮して、車は橋の上へ向かいました。
マンハッタン島を北上する間に、B-2から「どうすんの、どうすんの(What’s you gonna do? What’s you gonna do?)」 という、文面からして泣き笑いになっているテキストが3分おきにB-1の携帯に入ります。「返事してあげなよ」と B-1に諭すと、「もう“行くよ”って打ったからいいんだよ」という会話をしたのがチャイナタウン。
確実な返事が欲しいBig-Bが小柄なB-2を煽っている様子が目の前に浮かんできます。「金は多めに払うから」という余計なテキストもあって、プライドが高いB-1が「俺、金のことなんて気にしてねぇよ。あいつ、バカにしてんの?」と怒り出し、U-ターンしそうになるのを止めたのがソーホーを過ぎたあたり。意味なく疲れる人たちです。
51丁目に着いたところで、2時半過ぎ。予定オーヴァー。私はクラブの前でフライヤーを受け取るものだとてっきり思っていたのが、ブースから出られないのか、駐車場に自分たちで取りに行けとのこと。うそ。車を停める場所を探す時間が惜しいので、プレートと車種だけ聞いて、有料駐車場に私が潜入することに。なんでやねん。駐車場の説明も曖昧で、間違えて入った一つ目では当然見つからず(怖かった)、二つ目は「駐車券を持っていなかったら入れません」という全く正しい理由で拒否され、もう3時になっていたので、姉御肌も仏心もあっさり吹っ飛び、「間に合わないから、もう行くよ」とテキスト。
B-1の車が回ってくるのを待っている間に、B-2から「Big-Bがそっちに行ったから!」との返事。だったら、最初から出て来てよ。
「リラーックス、ミィナァコ、リラーックス、ミィナァコ」
と叫びながら車から降りて来たBig-B(ダイエットに大成功)とリンクしたのが3時12分。絶望的。年に一度の自分たちのアニヴァーサリー・ダンスを何としてでも成功させたいBig-Bは守備通りに行ったのが上機嫌なのか、あれこれ言ってくるのを「あのね、今日は遊びじゃないんです。取材で行かないといけないんです」とシャットダウン、それを見ていたB-1が形勢逆転を悟り、私に気を使いまくって高速を飛ばす、飛ばす。
C-Pac到着3時38分。新記録。ふだんなら1時間はかかります。ところが、人が来すぎたとかで入場受付が終了。セキュリティーにいろんなことを言って、その中の何かがうまく引っかかったらしく、入れないでたむろしていた人々の罵声を浴びながらクラブに無事に潜入。ステージ周りがぐちゃぐちゃで楽しめる感じではなかったので、とにかくセラーニとビューグルを観て、マヴァードの写真を押さえたところで退散。たぶん、30分もいませんでした。
外ではB-1があまりやる気がなさそうにフライヤーをまいていて、「雨ふってるし、テキトーでいいよねぇ」と、あれだけ大騒ぎして持って来たフライヤーを配るのを本当にテキトーに切り上げていました。ハハハ。帰り道、フラットブッシュでジャークチキンを食べたのが一番楽しかったという、「なんだかな」な夜でした。
追記。翌日、昼間に電話で起こして詳細チェックをしてきたのはBig-B。ビッグマンになるには、これくらい根性がないといけないのです。