テッサーン・チン、The Voice優勝!

テッサーン・チン(発音が難しいですね。人によってはティッサーンになる)があと20分で「ザ・ヴォイス」で優勝する、という前提で書き始めました。
すでにシンガーとしてプロだった彼女が、あえてアメリカのオーディション番組にいち出場者として出る。

以前も書きましたが、セミプロも多く出る番組なので、そのこと自体は問題ないです。

それより、本戦に出ると、毎回10億人以上に彼女の歌声が届く。それが、重要。
私はこういうオーディション番組を含めて、リアリティTVが苦手であまり見ません。今回もきちんと見たのは最初の回と最終回だけ(その間、1ヶ月弱日本にいましたし)。「アメリカン・アイドル」が社会現象になったときは、仕事のために見ないといけないかな、と思ったけれど、どの番組もシーズンの優勝者をデビューさせるものの、その中でずっと長く活躍する人はひと握りなので、仕事には差し支えありませんでした。

だから、彼女がどんな人たちを相手に勝ち抜いてきたかは知らないし、パフォーマンスをネットでチェックしたくらいなので解説はできないです(No Doubtの“Underneath it All”はよかったですねー。本家よりも肝の座ったレゲエでした)。

あ。レディ・ガガとクリスティーナ・アギレラが一緒に歌っているのに、明らかに仲が悪そう(ってか、ガガさん顔が引きつってる。この人の歌には何も感じませんが、いい人なんだろうなぁ、と時々思う)。
えーと。結局、最後までコンピュータの前に戻らずに見てしまいました。

わーい。テッサーン優勝!!

昨日のホィットニー“I Have Nothing”のパフォーマンスを観て、勝ちを確信しましたが、やっぱり決まるとうれしいですねー。ジンと来ちゃった。ジャマイカの人たちも大騒ぎでしょうね。ここ数週間、月曜日になると「みんなでテッサーンを応援しよう」みたいなメールが知り合いのパブリシストさんたちから届き、それによるとあちこちで集まってみんなでテレビを見ながら応援するパーティーをやっていたみたい。もう国のヒーローはウセイン・ボルトかテッサーン・チンか、という騒ぎでした。

アメリカにはプロの歌手が出て歌うような番組はひとつもなく、この手のオーディション番組が唯一の音楽番組です(オーディション番組は「Xファクター」を含めて3つあります)。一時期よりは視聴率が落ちたとは言え、10億前後の人が見るのはやっぱりスゴいし、インターネットでさらに多くの人が見ていることを考えると、テッサーンは世界規模で「ジャマイカの歌声」を届けたわけで、勝ち負け以上にそれが快挙でしょう。

昨日、アコースティック・ライヴを見てきたロメイン・ヴァーゴやクリストファー・マーティンは、アメリカン・アイドルのジャマイカ版「ライジング・スター」の勝者だし、イギリスから始まったオーディション番組のブームにジャマイカもしっかり巻き込まれた、というか、いい形で乗ったように思います。

ジャマイカ人でも必ずしもレゲエ・バージョンを歌わなくなったのも、この流れです。ロメインもクリストファーも、サム・クックやマーヴィン・ゲイはそのままのアレンジで歌うし、テッサーンに関しては、最近はロックを目指していたので、今回も何を歌っても自然でした。

先ほども書きましたが、デビューしても番組での熱気を持続できずに、そのまま消えるケースも少なくないのが、オーディション番組の優勝者たちです。テッサーンもこれからが勝負。でも、そんなこと、彼女自身が一番わかっているでしょうし、元々のファンはこれからも変わらず応援するだけの話ですよね。シーズンの途中で負けてもスターになったジェニファー・ハドソンみたいな例もあります。

もう一つ、大事だと思ったこと。テッサーンが今回アメリカのテレビで活躍したことで、ジャマイカの標語「Out of Many, One People」が、実感として世界に伝わったのもとても素敵でした。「出自はいろいろでも、ジャマイカ人はひとつ」。そういう意味です。ジャマイカは確かに肌の茶色い人が多いですが、よく見ると本当にいろんな人がいますから。テッサーンはお父さんが中国系でお母さんがイギリスの白人。お姉さんのタミよりアジア系の血が強く出ていて親近感が涌きます。

タミの取材の際に彼女たちの家に行ったら、地下にリハーサルのスペースまであるスタジオがあって、びっくりしました。お父さんも音楽をやる人で(本職は実業家だそうですが。アップタウンの人たちです)、ふたりの娘の音楽教育に力を入れた結果が今回、大きく実を結びました。そのとき、タミちゃんの写真はいっぱい撮ったのですが、テッサーンは「シャイだから」という理由で出て来てくれなかったんですよね(寝起きだったらしい)。残念。

日本のレゲエ・シーンにも、いろいろな出自の日本人がいます(在日、という言葉は日本で生まれて教育を受けて、税金をきちんと払っている人に対してちょっと失礼な言葉だと私は思っています。韓国系日本人とか、中国系日本人という言い方が定着すればいいのに)。Mighty Crownとか、Fire Ballのリー君とかプシンさんとかも、そのままで勝負していてポジティヴ。
パスポートの種類や「格差」なんて言葉で分けてしまうより、日本も「Out of Many, One People」の精神を取り入れた方がいいのになぁ、とちらっと思いました。

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