Weekly Recap 3.28 -4.3  DMXがとにかく心配。

目の前の締め切に右往左往するばかりで、日々見つけたこと、感じたことを記録するのをサボってしまいがち。ニュースそのものは間が空いても調べられるけど、自分がどう感じたかは消えてしまう。そこで、週をふり返るブログを書いてみます。続けばいいな。続かなくても、いいけど(と、将来の自分のプレッシャーを取り除いておきます)。

締め切りを、英語で「デッドライン」と言います。それを過ぎたら死ぬよ、と言わんばかりの恐ろしげな響き。「3月いっぱい」という区切りで大小のデッドラインが重なり、ちょっぴり命が削られたので、週の後半は惚けていました。大坂なおみさんのtweetを、「バブルティー」と「Mochi」がわかりづらいかも、と思って訳したところすごく拡散されたのも、集中力を削がれた理由。私の言葉ではないし、他人事みたいな気分で。その際、私、自分のフォロワーさんは信頼しているんだな、と気づきました。私がどんな発信をする人間なのかわかってもらっている範囲に広がっている間は、真意が曲解される心配はなかったの。でも、そこを離れると「欧米でひどくなっている、アジア系へのバッシングを憂慮して」という、そもそもの目的が、まっっったく伝わっていなくて、びっくり&がっかり。

17万人弱の人の目に触れたようですが、きちんと伝えきれなかったので、少し残念です。

さてと。音楽ニュースは、リル・ナズ・Xの「モンテロ(コール・ミー・バイ・ユア・ネーム」のビデオが激しすぎて大笑いしていたら、Nikeのスニーカーを勝手にカスタムした件で訴えられたうえ、FKA ツィッグスのビデオに似ているとそちらを作った監督が言い出して物議を醸したものの、ツィッグスの神対応で一件落着した話とか。それから、「なんでそんなにご機嫌斜めのなの?」とのフックの「Mood」が大ヒットした24kGoldnにZoomインタビューしたところ、すごく明るい青年だった報告とか。‥を書こうと思っていたら、DMXがODで病院に担ぎ込まれて危篤状態とのニュースが入ってきて、大ショック。のんびりブログを書いている場合ではない! という気分になったけれど、祈る以外、私ができることもないわけで。

いや、祈りつつ、30才以下のヒップホップ・ファンに、DMX の凄まじさを伝えてみようかな。1998年から00年代半ばまで、アルバム全作がビルボードのアルバム・チャートの1位でデビューしたんだよ、とか、ジェイ・Zやジャ・ルール以上にデフ・ジャムの最盛期を担う存在だったんだよ、とか、そういう事実も大切だけれど、DMXはラッパーである以上に、大スターだった、の一点に尽きる気もします。なんかね、男の人も憧れる存在というか。猛々しいラップ(そのわりに、イケイケなトラックも上手に乗る)、精悍な外見、犬やバイクに自分をなぞらえる真っ直ぐなかんじ、フィメイル・ラッパーのイヴやドラッグォン、プロデューサーのスウィズ・ビーツなどクルーとしてのラフ・ライダーズを売り出す男気。20年が経ったいまでも、DMXのヒット曲にはアドレナリンをかき回されるような魔力があります。

そのスター性はハリウッドの目にも止まり、ミュージック・ビデオで一世を風靡したハイプ・ウィリアムスの監督デビュー作『Belly』でNasと主演したあと、『マトリックス』のアンジェイ・バートコーウィク監督の、ヒップホップとカンフーを掛け合わせた3部作に出演。まず、ジェット・リー(!)と故アリーヤの『ロメオ・マスト・ダイ』で存在感を発揮。続く『Exit Wound(邦題:Dengeki電撃)』、『Cradle 2 the Grave(邦題:ブラック・ダイアモンド)』でDMXの出番はどんどん増えました。

サウンドトラックのこの曲も大ヒット。映画のサントラでアーティストを売り出すのが多かった時期ですね。

『ロメオ・マスト・ダイ』以外は覚えてないなー、と思ってトレイラーを見たら、きちんと観ていたし、なんなら細かいシーンも覚えていました。記憶っておもしろいですね。ジェット・リーとアリーヤのキス・シーンが話題になるなど(撮影されたのに、カットされました)、『ロメオ〜』の印象が強烈だっただけで、ほかの2作もしっかりヒットしました。後々、主役級になった人もちらほら出ています。どれくらい、DMXがかっこよかったか伝えるには、ビデオを貼っておくのが一番わかりやすいかもしれません。

ドラッグディーラー役で出番も多くなかったのに、「DMX出演!」がすごい話題になりました。
字幕なしでごめんなさい。57秒目からの、車を買うシーンは有名ですね。ひゃー。

DMXは、演技も上手なんですよね。ちなみに、天才MCのNasさんは演技のセンスはなかったみたいで、『Belly』以降はスパッと止めてます。それにしても、DMXの容態が心配。DMXは、ダークマン・エックス(Dark Man X)の略。英語のウィキペディアを読んだら、お母さんがエホバの商人の熱心な信者で子供に厳しく、おまけにお母さんの彼氏たちに暴力をふるわれるような幼少〜少年期だったそう。彼は、ニューヨーク州北部、ヨンカース出身で売れる前から付き合っていた奥さんと仲の良い印象が強かったのですが、もう離婚していました。というか、子供が15人もいました。すごいな、ダークマン。それを知ったら、生命力強そうな気がしてきました。いやぁ、もうお願いだから。

週末に出すウィークリー・リキャップなのに月曜に入ってしまったので、リトル・ナズ・XとFKAツィッグスの共通のテーマは「聖と性」であり、クィーア感満載のナズ・Xのビデオは、実は同性愛者の若者を代表して闘っているんだよ、というトピックは今度にします。

東京は大雨です。いい1週間にしましょう!