ワールド・クラッシュ 斜め読みレポート

先週の土曜日に行われたワールド・クラッシュ・リセットのレポートです。長いです。

優勝は! Sir Rodigan !!

最初に断ると、本編のレポートはWoofin’のコラムで展開する予定なのと、すでに結果は伝わっているのと、実はサード・ラウンドまで左のスピーカーの調子が悪かったせいで、非常に聞きづらかった、という理由で、クラッシュそのものよりステージ周りで起きた「裏話」を中心に書きます。ブログだし。

「9時開場、11時スタート」という触れ込みだったけれど、「そんなことないでしょ」と高をくくって、11時半に行ったら列がほとんどなくて「あれ?」と思ったら、みんな中にいたのでした。すごい人。あらー。プレス担当のフレアさんにはすぐ会えてパスをゲット、今年はステージの左側にあったフォトピット/プレス用の定位置に5分で滑り込んだところ、その直後にクラッシュがスタート。いやー、焦りましたね。ふつうならフォトピットになるステージの真ん前のスペースには、モニター(かな?)が並べられ、DVD用のカメラが2台スタンバっていました。ステージ後方左右にも小さいステージが設けられ、そこからも撮影していたし、Irish &Chinさん、抜かりがない。今回のDVDは期待していいと思います。見応えがあるはず。私もジャマイカ編が出るのが楽しみ。

ただし、ファースト・ラウンドでブラック・キャットとトニー・マタランに機材トラブルがあったり、私がいた左のスピーカーから音が出ていなかったりという問題も。ウワンウワンって反響して、曲が分かった時には次に移っちゃっている、という状態。そこに登場したのが、おせっかい、じゃなかった、アツいジャマイカ系の人達。セキュリティーがわりと甘かったプレス用の場所(ステージと同じ高さ)まで上がって来て、なーんと、闘っている最中のサウンドマンに向かって「おーい、左側のスピーカーから音出てないぞー」って、叫ぶんですよ、私の頭上および両脇から。仕方ないので、彼らの気が済むまでずっとその声を聞いていました。うるさかったけれど、私の耳ではなくて実際に問題があるのが分かって安心したし、ちょっと面白かったし。

ステージ前の大きなスピーカーから先に直って、私の近くにあったステージ上のスピーカーからも音が出てよく聞こえるようになった時は、すでにセカンド・ラウンドの半ばでした。ステージ上に話を移して。プレイは、ロディガン→ファイアー・リンクス→アース・ルーラー→マタラン→ポイズン・ダート→ブラック・キャット→ベース・オデッセーの順。


(Black Cat)

15分のファースト・ラウンド(エリミネーションなし)は、ブラック・キャット以外はどのサウンドも良かったです。パンサーがいなくて、たぶん出ない方が良かった黒猫さんチームはセカンド・ラウンドでゴーン。ファースト・ラウンドは、私から見てベース・オデッセーが一番フォワードをもらっていた気がするのですが、リンクスもかなり気合いが入っていました。というか、この人、全体に張り切り過ぎで上滑り気味。せっかくいいチューンをいっぱい持っていたのに、ラウンドが進むにつれて彼のうるさいMCにお客さんが食傷気味になっていた気がします。うしろで「why he is so disparate ?」ってボソッて言った人がいたくらい。宿敵のマタランを毎回、私情丸出しでディスるし(笑) 。

(Fire Links。斜めがけバッグに気合いが表れていました)

セカンド・ラウンドで一番よかったのは、アース・ルーラー。全体に手堅い選曲で(Sizzla率高め)手堅い(と、私は思いました。ニューチューン、ウケなかったし)お客さんにアピール。今回は監督役だったリー・メージャーも後ろで巨体を揺らして飛び上がっていました。


(Earth Ruler)

ファーストとセカンドは持ち時間が長めなせいか、出だしでモノローグとか、電話ネタとか、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」の替え歌とか、ゆっくり攻め始めるサウンドが多く、少々ダルくなったのは私だけでしょうか。


(Poison Dirt)

サードは、ラウンドごとに調子を上げていったロディガンと、出だしは良かったリンクスの後は、どんづまりな感じでした。アース・ルーラーからお客さんが無反応になって、「魔の時間」に。長丁場のクラッシュやフェスでは必ず訪れる時間で、みんながオフになってしまう。もちろん、プレイの内容に対する反応ですが、集団心理も関係ある気がします。私も集中できなくなって、ステージを挟んでちょうど180度向かい側にいたサミー君の靴がすてきだなー、あー、カメラの置きっぱなしはちょっと危ないかなー、とか、私の隣の人、はっちゃんの息子にそっくりだなー、とかぜんっぜん関係ないことを考えていました。

(Tony Matterhorn)

マタランはブーイングを喰らったし、ポイズン・ダートもお客さんを固めてしまったサード・ラウンドの「溶解係」は、ベース・オデッセーでした。彼ら、人気あるんですよ。プレイバックをやっても許されちゃうくらい。まぁ、最近はプレイバックに関して寛容になっている傾向があるのですが、それでもワールド・クラッシュですからね、勝敗に全然関係ないというのもどうかと思います。

(Bass Odyssey)

ここでふたつのサウンドがゴーン。さよなら、マイアミのポイズン・ダート&ブルックリンのアース・ルーラー。マイアミのラスタさんはテンポが悪かったうえ、マタランの下半身攻撃がえげつなかったので仕方ないとして、アース・ルーラーセカンドがとても良かったので意外でした。ブルックリン住人としては、悔しい判決。

助かったのが、この日は本調子ではなかったトニー・マタラン。 リアーナ(の、たぶん偽物。声はよく似ていたけれど、本物だったらかすれるブリッジの箇所もきれいに歌えていたから)の“We Found Love”のダブは、 意外性があって良かったですが(滑ってたけど)。私、この曲のリリックを換えたらめっちゃクラッシュ向きじゃん、と常日頃思っていたので、満足でした。先ほどの「集団心理」じゃないですけど、この時点でみんなtune fi tuneはロディガンとオデッセーかな、と思い始めていたはず。それをひっくり返しそうなのが、<うるさいチーム>のマタランとリンクスだったから、アース・ルーラーが消された気がします。

結果的に、<うるさいチーム>がマジックを起こすことはなかったわけですが。
ステージの真横で見ていて興味深かったのが、出番じゃない時に、サウンドマン達が何をしているか。日本人だったら、絶対にラップトップを覗き込んで相談するじゃないですか。それが、オデッセーのワームさんは階段に座ってボーッとしているし(ダミアンに任せているのかな)、マタランもタバコを吸ったり、おしゃべりしたり。平常心の保ち方って人それぞれなんだな、と勉強になりました。
で、一番、面白かったのが、ロディガン卿(はい、“Sir”ですからねー)とPeeweeのコンビ。彼らが作戦を立てる時に使うのは………。

紙!! レポート用紙!!!

真っ白い大きな紙を覗き込みながら、ロディガンさんがびゃーっと線を引いたりするんです。なんてベーシック。なんてアナログ。とっても素敵。ピンだとイケイケなPeeweeがチーム・ロディガンのセレクターになった途端、しっかり言うことを聞く弟子になる点も含めて、このコンビをNYで見るのが大好きなのですが、この様子を目にした時は、ちょっと感動してしまいました。私も手で書いて考えをまとめるタイプで、ふだんからスケジュール帳だの、取材ノートだの小学生みたいに4、5冊のノートを使い分けているですが、これからは堂々と人前でも紙に書こうと思います。ガジェット音痴でもいいんだぜー、ロディガンさんもそうだもの(老眼が理由かもしれませんが)。

話が逸れました。

最後まで接戦だったTune fi tuneの様子はぜひ、youtubeなどで見てください。


(Tune fi tuneが始まる寸前)

追いつけ追い越せ、のタイミングでロディガンがかけたTenor Sawはほんっとにかっこ良かった。目立たないようにしていたのに、思わず手を挙げてしまったほど。


(お客さん大喜び!)

やっぱりWorld Clashは面白いですね。

(Sami-Tの勝者インタヴュー。ロディガンさんの視線があったかいです)
来年は日本のサウンドに出て欲しいぞー。

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