ブラック・ロブがホームレス状態で亡くなった、との情報はまちがいですよ、とブログで書くのは3回目です。今回は、私が執拗に書く理由を明らかにします。実は、いままでははっきり書かなかったことがあって。彼には日本人の元奥さんと、子どもがいるんです。
前々回のRecap ブログ→「彼が「(持ち家もなくて)帰る場所はアパートくらいしかない」と言っていたのが、大げさに広まってしまった。ブラック・ロブは、個人的に少しだけ知っている人でした。10年くらい前、仲のいい友人が彼と付き合っていて、1度だけ会いました。その日のロブさんはすごく機嫌が良くて、ハーレムっぽい華やかな雰囲気をもちつつ、いい意味でふつうの人でした」
この後半を、正確に書き直します。
「10年くらい前、仲のいい友人が彼と結婚していて、私は市役所に届ける際の立会人として、1度だけ会いました。その日のロブさんはすごく機嫌が良くて、ハーレムっぽい華やかな雰囲気をもちつつ、いい意味でふつうの人でした」。そう、ブラック・ロブは生涯で1度だけ結婚しました。その相手が、日本人のみえちゃん。
リアナは6人いるロブさんの子どものひとりで、いまは高校生です。みえちゃんはロブさんが「Whoa!」をヒットさせた2000年に出会って、くっついたり離れたりしながら、けっこう長くつき合っていました。彼がほかの子どもの養育費の未払いなどで刑務所に入ったときは(アメリカは未払い、めちゃくちゃ厳しいです)、長距離バスに乗って面会に行く、アリシア・キーズの「Fallin」のPVみたいなこともしていました。
それで、2010年にバッドボーイから離れてダックダウンと契約したタイミングで、めでたく結婚しました。ロブさんは、どうしても女性関係が派手だったから長くは続かなかったけれど、結婚しているあいだ、みえちゃんは家庭生活を円滑にしようとすっごくがんばっていた。それは、歩いて7分の場所に住んでいた私がよく知っています。
訃報が入ってきたとき、私はまず彼女たちが心配で連絡を取り、「ずっと会っていなかったし、大丈夫。それより夢に出てきたあとですぐ亡くなったから、なんか怖い」という返事でした。ただ、実感がすぐ湧かなかっただけだったようで、1週間もしないうちに泣きながら連絡がきて3時間くらい話しました。大切な人を失った哀しみと、最後にロブさんがインスタで吐いた弱音が曲解されて、たった一人の「元妻」である彼女はあることないことをネットで書かれて参っていました。
だから、ここではあれは「事実とちがう」としつこく書きたい。ロブさんは最後までモテていたし、家族もたくさんいたし、行く場所はいっぱいあったんです。あの弱音インスタの意図はもう亡くなったからわかりかねますが、周りの人はびっくりしたそう。お葬式も立派で、ファンが詰めかけました。みえちゃんは、ロブさんの家族やバッドボーイの人たちがとても優しくしてくれたので、よけい辛かったと言っていました。ハーレムに、「ブラック・ロブ」と名前がついたストリートもできる計画もあります。日本のヒップホップ・ファンにはこのヴィデオのブラック・ロブを覚えていてほしい。
「ホームレス」という響きが強烈で、その情報が日本のファンの間でも駆け巡ってしまって、私がここでがんばってもひっくり返せないかもしれないけれど、とにかく「ちがう」と強調させてください。本人がインスタでその言葉を使ったのは事実だから、SNSで広めた人はなにも悪くないです。正直、あれを見たとき、私は彼の容態を心配しつつ「何してくれてんの」と思いました(ごめんなさい。快復するだろうと思っていたので)。その誤情報で、いま遺族が辛い思いをしていることを伝えたいのです。ロブさんとみえちゃんのことは、彼の音楽キャリアとは直接関係ないので迷ったのですが、事情を知っているみえちゃんの日本の友だちも心配しているかなと思い、報告も兼ねて、本人と相談して書きました。R.I.P. Black Rob