今週はきちんと1週間(とちょっと)でRecap (再生)できそうだー。えらいな、自分。今週はレゲエ・ウィークでしたね。5月11日のボブ・マーリーの命日にJ-WaveのSonar Musicに呼んでいただいた2日後に、Spotifyの公式ポッドキャスト『Poplife』のレゲエ特集が公開されました。ラスタファリズムの説明があいかわらず下手だなぁ、との反省がムクムクともたげている最中。このブログでは、SWV対Xscapeのverzuz対決、タリブ・クウェリがまさかの大炎上中、チャートでは『Khaled Khaled』よりロッド・ウェイヴ『SoulFly』推しという話と、と最近のお仕事の宣伝をしますね。... Read More
Weekly Recap 〜5.5.2021
まったく黄金感のなかったゴールデン・ウィークだったけれど、それでも終わるのは少し悲しい2021年5月5日です。GW前はけっこう締め切りが詰まっていたので、休みに入ってメールが減ったらヘロヘロと崩れるようにゴロゴロして、いっぱい読み物(本とは限らない)をしました。幸せ。そのなかで、アメリカのGQのジュース・ワールドの記事がとても良かったので、要点を箇条書きにします。GQジャパンで翻訳される可能性もあるので、そこは気を遣いつつ(ぜひ、訳してください)。5月3日付、ダン・ハイマンさんが書いた記事はかなりの長文。ちなみに、ハイマンはユダヤ系アメリカ人の名前ですね。お母さんのカーメラさん、プロデューサーのベニー・ブランコ、ニック・ミラ、ラッパーのG・ハーボら、エンジニアのマックス・ロードに話を聞いて事実を丁寧に並べているだけなんだけど、それでもかなり応えます。... Read More
Weekly Recap. 4.4-4.18 ブラック・ロブの死と、最近観た映画と。
忘備録代わりに、週ごとをふり返るウィークリー・リキャップを4月から始めたのに、早速、2週間分まとめて書いているダメ人間です。その間にDMX逝去との、個人的にもヒップホップ・ワールドにも大きなニュースがあり、2本ほど追悼記事を書きました。翌週、2000年のメガ・ヒット“Whoa!”を飛ばし、バッド・ボーイ黄金期を支えたブラック・ロブ(Black Rob)が腎不全で亡くなりました。DMXの方がずっと大物ではありますが、どちらも50代に入ったばかり、世紀が変わる時期に活躍、と共通点が多いので名前を聞いてパッと曲と顔の両方が浮かぶ人はショックが続いたのでは。... Read More
コロナ禍の『ニューヨーク・フーディー』
850万弱の人口を抱えるニューヨーク市で、2021年1月31日現在の新型コロナウィルス罹患者は約59.7万人、もう少しで60万人に届きます。単純計算で15人にひとりの割合。あまりに高いので、計算をまちがえたかとやり直しましたが、合っていました。... Read More
平均年齢47.7才の2020年Pt1.どうせ陰謀論を吐くなら絶滅レベルまで行け!バスタ・ライムズ「人類滅亡レベルの危機2」
「俺はお前らみんなが怒りで進まないと、という気にさせるために神から遣わされた/ストリートをヒートアップしてめちゃくちゃにするところだよ/また罰してやる/トランプがトランペットよりけたたましく騒いで前にいる間/みんながあの操り人形の前でひれ伏している間/俺は復活の日を信じる」... Read More
差別について私が知っている2、3のこと
5月25日にミネアポリスで起きた、元警察官のデレク・シャービンと他3名がジョージ・フロイドさんを、圧死させた件で全米が紛糾し、世界中が注目しています。駆け足ながら、今回の事件の背景をまとめた記事も多くの人に読んでいただき、ありがとうございます。11日が過ぎた現在も、各地で抗議運動が続いています。人が集まることについてはいろいろな意見があるでしょうが、取り囲んで加担した3人も逮捕、起訴されたので、やはり効果はあったのではないでしょうか。... Read More
ASAPファーグ&ティファニーのすてきな企て

ファーグさんもパリッとしてます、彼女さん?奥さんがすっごい美人ですね。
ファーグも「ミッドタウンの高校に通っていたから、毎日のようにティファニーの前を通っていたけど、別世界だと思っていたから足を踏み入れたことはなかった」、とコメント。お披露目パーティーにはナオミ・キャンベルやゼンデイヤのほか、ダッパー・ダンも顔を見せたそう(彼に関しては、友人のエドウィン・スタッツのQの記事がめでたく訳されたのでリンクを貼りました。エドはかなりのレゲエ・ヘッドです、ちなみに)。 ティファニーといえば、最近、ちょっとおもしろいことがありました。叔母から生前形見分け? という理由でもらったエメラルドとダイヤのブレスレット、金具が古いタイプだったため外し方がわからず、ネットで調べたら、なーんとティファニー!!! のコピー商品だったんです。いやー、笑った。ティファニーのコピーとか、めっちゃヒップホップ。石は本物だし、ガンガンつけようと思います。気が向いたら、そのうち写真をアップしましょう。 ところで。ASAPロッキーの新作「Testing」、本人&ヒップホップ全体の新境地に到達していて素晴らしい。いまも聞きながら、これを書いてます。ロキ太郎への愛もそのうち、記したいと思います。たぶん。... Read More書評『NYの「食べる」を支える人々』


2018年ブルーノ・マーズ&ビヨンセ観察記

(左からふたりめがフィリップさん。2016年のスーパーボウルのハーフタイム・ショウ。iPadで思わず撮った間抜けな写真)
『24 K Magic』は1ミリの隙もない、シームレスなアルバムです。初めて聴いたとき、80年代後期〜90年代初期のR&B、テディ・ライリー/キース・スウェット/ボビー・ブラウン/ベイビーフェイス+α全体をジャックしていて「そう来たか!」と驚愕しつつ、あ、これはあの時代に衝撃的だった、ディスコではなくヒップホップもかかるクラブ向きのR&Bをそのままそっくりステージに持っていくための作品だな、と合点が行きました。 もともと、古い音楽の要素を取り入れるのが上手なブルーノが、さらにわかりやすい形で特定の年代のスーパーヒット曲の要素をリメイクしたのが、セカンドからのシングル、“ Locked Out of Heaven”でした。80年代のニューウェイヴをもっと黒くしたような音で、ブルーノ本人は「ポリスを意識した」と言ってましたね。私はザ・パワー・ステーションぽいな、と思いました(調べてねー)。それから、マーク・ロンソン名義の“Uptown Funk”で70年代に遡って爆発。「俺らの“Oops Upside Your Head”に似ている!」とチャーリー・ウィルソンさん率いるギャップ・バンドの面々に怒られてクレジットを直す1件はあったものの、見事に2016年のグラミー賞のレコード・オブ・ジ・イヤーを受賞。 思い返せば、この辺りでサードアルバムの方向性が固まっていた可能性が高い。でも、私はボケーっとセカンドアルバムを聴き込んでいました。それもあって、ライヴで圧巻の歌声を着替えた“Treasure ”と、バラッドの“When I Was Your Man”が一番、響きました。“When I Was Your Man”みたいなストレートすぎる本音を、そのまま歌うブルーノが好きなのです。「俺が君にしてあげるべきだったこと、新しい彼氏がちゃんとしてくれているといいけど」って。 失恋して男を上げる稀有なタイプ、ブルーノ・マーズ。 ああ。セカンドとサードで は音楽性よりも描いている男性像が変わっているのが、大きいかもしれません。『24 K Magic』に出てくる男性は上から目線でモテモテイケイケで、ええ、こうやって書いても気恥かしいほどの、ちゃらい人。セカンドまでは、一途な恋愛ソングが多かったのにね。「変わっちまったな!ブルーノ!!」と内心。そういえば、アリーナのスタンディングにはそういうタイプがちらほらいたかな。最後はピュア時代の“Just Way You Are”で締め。なんだかんだアメリカも整形美人が勝ち上がっている昨今、「どこも変えないで/そのままで完璧だから」と歌うこの曲は、シンプルなようで勇気と男気に満ちています。 映像中継のビヨンセ・イン・コーチェラ、ハッシュタグ的にベイチェラについてもちらっと。同時中継で見たのは半分だけ。それでも「世紀のパフォーマンス」 であるのは、登場時にすっと了解できました。ヌビアン・クィーンやブラックパンサー風といった今まで何度か見た出で立ちに加え、「黒人大学のチアリーダーかと思いきや実は学長」という新たな設定が加わって、2016年『Lemonade』以来、ひたむきに黒人性をより強調してきた方向性が、ひとつの完結を迎えて、すばらしかった。
(これもスーパーボウルのとき。実はコールドプレイの時間だったんですけど。クリス・マーティンさんへの好感度が上がりしました↑ エゴがない人だわー。コーチェラでビヨンセの応援をしているようで、結果的に邪魔をしたリアーナちゃんは見習ってほしい)
歌唱力、ダンスの切れ、美貌、計算され尽くした衣装。 ビヨンセは、ここ2年でマイケル・ジャクソンと肩を並べました(当社比)。 『Off The Wall』や『Thriller』ほどの超絶傑作、ゲーム・チェンジャーとなる作品は、まだ作っていません。一方、マイケルのようなスキャンダルも、整形依存のような弱点もない。ビヨンセに必要なのは、クィンシー・ジョーンズみたいに総合力のあるプロデューサーかも。Don’t get me wrong、『4』も『Lemonade』もすごいアルバムですよ。ただ、『Off The Wall』と『Thriller』は、万里の長城みたいな、ピラミッドのような、「どうやって作ったの、それ 」と見上げるしかないアルバムなので。作品の真の偉大さは時間が証明するので、ビヨンセにはまだ時間があります。 ビヨンセは、旦那のジェイ・Zとともに「Bay-Z大会社」とも呼べる鉄板のビジネス形態を築き上げ、おそらく、テレビ局やグラミー賞よりも重要で力のある存在です。無敵。ものすごーく頭のいい人たちだから、大金持ちで天才、すべてを持っている姿を見せるだけでは反感を買うのはわかっていて、ちょいちょいリリックやドキュメンタリーで「悩んでいる、フツーの私たち」を伝えてきます。その悩みは、本物でしょう。ただ、存在としてすでに「超人」の域に達している。共感したり反論を唱えたりする相手ではなく、ひれ伏すのみ。 私が大好きだった、怖いくらい美人で太ももが立派すぎる、冗談が通じないところがおちゃめなデスチャのビヨンセは、もういない。それがよくわかったパフォーマンスでした。畏敬の念を覚えながら、興奮しながら、どこか寂しさを感じる時間でもありました。いまのビヨンセには、ブラック・パワーと歌の力で世界を少しでもまともな方向へ揺り戻す、という使命があり、本人もそのために全身全霊でパフォームしています。もう、世界を救うのはワカンダ人かビヨンセか、というレベル。 超人でありスーパーヒーローであり、その分、現実味もない存在なのです。 これからは、ブルーノとビヨンセの両巨頭を素直に見上げて生きていくことにしましょう。いや、それしか残された道はない。ラーメンをすすって曲を書いていたブルーノと、2回もメジャーデビューをつぶされて必死だったビヨンセ(とディステニーズ・チャイルド)の若かりし面影を心の片隅に抱きながら。... Read MoreSounds of Blacknessって知ってる?

