Weekly Recap. 4.4-4.18 ブラック・ロブの死と、最近観た映画と。

忘備録代わりに、週ごとをふり返るウィークリー・リキャップを4月から始めたのに、早速、2週間分まとめて書いているダメ人間です。その間にDMX逝去との、個人的にもヒップホップ・ワールドにも大きなニュースがあり、2本ほど追悼記事を書きました。翌週、2000年のメガ・ヒット“Whoa!”を飛ばし、バッド・ボーイ黄金期を支えたブラック・ロブ(Black Rob)が腎不全で亡くなりました。DMXの方がずっと大物ではありますが、どちらも50代に入ったばかり、世紀が変わる時期に活躍、と共通点が多いので名前を聞いてパッと曲と顔の両方が浮かぶ人はショックが続いたのでは。... Read More

コロナ禍の『ニューヨーク・フーディー』

850万弱の人口を抱えるニューヨーク市で、2021年1月31日現在の新型コロナウィルス罹患者は約59.7万人、もう少しで60万人に届きます。単純計算で15人にひとりの割合。あまりに高いので、計算をまちがえたかとやり直しましたが、合っていました。... Read More

平均年齢47.7才の2020年Pt1.どうせ陰謀論を吐くなら絶滅レベルまで行け!バスタ・ライムズ「人類滅亡レベルの危機2」

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「俺はお前らみんなが怒りで進まないと、という気にさせるために神から遣わされた/ストリートをヒートアップしてめちゃくちゃにするところだよ/また罰してやる/トランプがトランペットよりけたたましく騒いで前にいる間/みんながあの操り人形の前でひれ伏している間/俺は復活の日を信じる」... Read More

差別について私が知っている2、3のこと

5月25日にミネアポリスで起きた、元警察官のデレク・シャービンと他3名がジョージ・フロイドさんを、圧死させた件で全米が紛糾し、世界中が注目しています。駆け足ながら、今回の事件の背景をまとめた記事も多くの人に読んでいただき、ありがとうございます。11日が過ぎた現在も、各地で抗議運動が続いています。人が集まることについてはいろいろな意見があるでしょうが、取り囲んで加担した3人も逮捕、起訴されたので、やはり効果はあったのではないでしょうか。... Read More

ASAPファーグ&ティファニーのすてきな企て

日曜日にMacBookのデスクトップの整理をしたらー。書きかけのブログが11もあったぜ! その中から比較的、新しくて前向きな話を。 私はチキン派なので(ダブルミーニング)、ビーフとか食傷気味です。 まずは、こちらをご覧いただきましょう。 ティファニーの新しいキャンペーンにASAP ファーグと女優のエル・ファニングが起用されて、不朽の名曲「ムーン・リヴァー」をカヴァー&リミックス。 「ムーン・リヴァー」は言わずもがな、1961年の映画「ティファニーで朝食を」で、オードリー・ヘップバーン扮するホーリーが歌った曲。映画のテーマソングとしてオスカーを獲得しただけでなく、翌年のグラミー賞のレコード・オブ・ジ・イヤーとソング・オブ・ジ・イヤーをダブル受賞。56年(!)の間に何百回とカヴァーされています。今年に入って、フランク・オーシャンもカヴァーしていますね。曲の雰囲気と儚げな彼の歌声がマッチしてすてきです。 エルちゃんも負けてない。オードリーと同じ、女優さんらしい表現力でグッときます。このヴィデオの冒頭も、イエロー・キャブが映った後でティアラをつけたヒロインが登場、手にコーヒーを持っているあたりが、映画へのオマージュになっています。さすがに、ジバンシィのリトル・ブラックドレスは着ていませんが。ヘップバーンの代表作のひとつに「ファニー・フェイス」(邦題「パリの恋人」)がありますが、彼女は正統派美人で、エルちゃんこそファニー・フェイス系。表情がころころ変わって愛くるしい。 これ、ティファニーの新しいデザイナー、リード・クラッコフの新しいシリーズ「ペーパー・フラワーズ」シリーズのキャンペーンCM。エル・ファニングがひらひらと見せびらかしているのが、それです。 NYタイムズの記事によると、ASAPファミリーから一番有名なロッキーではなく、ファーグに白羽の矢が立った理由がすてき。「ハーレム出身でティファニーの本店があるニューヨークのイメージに合うこと、そしてお父さんが服飾関係の仕事をしていたこと」だそうで。 つまり、ティファニー側は、ハーレムのファッション文化に敬意を表したんですね。ティファニー本店がある5番街の真ん中から、ハーレムの目抜き通り125丁目まで地下鉄の快速に乗れば10分くらい。でも、その間にはなかなか越せないふかーい溝があります。
ファーグさんもパリッとしてます、彼女さん?奥さんがすっごい美人ですね。
ファーグも「ミッドタウンの高校に通っていたから、毎日のようにティファニーの前を通っていたけど、別世界だと思っていたから足を踏み入れたことはなかった」、とコメント。お披露目パーティーにはナオミ・キャンベルやゼンデイヤのほか、ダッパー・ダンも顔を見せたそう(彼に関しては、友人のエドウィン・スタッツのQの記事がめでたく訳されたのでリンクを貼りました。エドはかなりのレゲエ・ヘッドです、ちなみに)。 ティファニーといえば、最近、ちょっとおもしろいことがありました。叔母から生前形見分け? という理由でもらったエメラルドとダイヤのブレスレット、金具が古いタイプだったため外し方がわからず、ネットで調べたら、なーんとティファニー!!! のコピー商品だったんです。いやー、笑った。ティファニーのコピーとか、めっちゃヒップホップ。石は本物だし、ガンガンつけようと思います。気が向いたら、そのうち写真をアップしましょう。 ところで。ASAPロッキーの新作「Testing」、本人&ヒップホップ全体の新境地に到達していて素晴らしい。いまも聞きながら、これを書いてます。ロキ太郎への愛もそのうち、記したいと思います。たぶん。... Read More

書評『NYの「食べる」を支える人々』

何を食べるか。どこで食べるか。誰と食べるか。 食事に関するあれこれを「楽しい」と感じるか、「めんどう」と感じるかで人生の捉え方そのものも変わってくるように思います。 食べることに対して雑な人は、生き方もどこか雑な気が。と言いつつ、私は準備が丁寧すぎたり、贅沢すぎたりする人もかみ合わない。その塩梅がピッタリ来る人は、貴重な存在。 1年半前、ニューヨークのレストラン・ガイド『ニューヨーク・フーディー』を出版しました。取材は、2015年の冬から2016年の春にかけて。一番、時間と手間をかけたのが、取材先の店選び。取材そのものは一気呵成にやり遂げました。その半年にも満たない時間で舌が鍛えられ、カロリーと体調の関係(肥えました)、サーヴィスと味の関係など、いろいろな角度で外食を考えた結果、たどり着いたのが「店選びは妥協してはいけない」という結論。 長く続いているお店は長く続いているだけの、人気爆発のお店は列になるだけの理由があります。例外。テレビでプッシュしたお店がいまいちなのは日本もアメリカも同じ。 少し前に、『ニューヨーク・フーディー』の似ている本を並べる、という店頭展開があり(出版社さん、ありがとうございます)、そのとき、この本に出会いました。 『NYの「食べる」を支える人々』。フィルムアート社刊行。 著者は、気鋭のノンフィクション作家、アイナ・イエロフさん。訳は、石原薫さん。綿密なリサーチと取材をもとにした、ずっしりとした本です。とはいえ、シリアスではなく、オーナー、シェフ、ウェイター、席まで案内する係(超人気店では重要なポジション)の話を掘り下げ、ニューヨークの食事情がわかる仕掛け。タイトル通り、「人」にフォーカスしています。一流どころのシェフだけではなく、刑務所で囚人のための食事を用意する人まで多岐に渡ります。前半は、世界各国から移住し、皿洗いからスタートして頂点まで上り詰めた人の話が多い。レストランの仕事は、労働時間が長く、きついです。「好きでないと続かない」という言葉がなんども出てくるように、適性がなければ続かない。 紹介されているお店(施設)は50弱。『ニューヨーク・フーディー』と重なっているのは系列も含めて5つだけ。私が行ったことがあるところは、16カ所(刑務所のカフェテリアには入れないですし)。テーマが被っているわりには、少ない感じがしますが、ニューヨーク市には1万の飲食店があるのだから、高確率かと思います。移民が持ち込んだ故郷の味をコアの部分は守りつつ、素材や料理法をアップデートして(健康的にして)広まっているのが、ニューヨークの食の醍醐味。僭越ながら、私もその部分を伝えようという意図がありました。イエロフさんのこの本は全編、その話です。 この本は、ニューヨーク好きの人はもちろん、板前さんやシェフ、飲食店の経営者の方にぜひ読んでほしいです。国や文化を超えて、すごくわかる部分があるはず。巻末の用語説明も勉強になります。 おまけ。ゴールデンウィークから夏にかけて、ニューヨーク旅行に行く方には拙著『ニューヨーク・フーディー』をおすすめします。電子書籍もあります。 本物はだれだ!  ... Read More

コールド・ブリューaka水出しコーヒー

今夏の大ヒット商品、コールド・ブリュー・コーヒー。 試しに飲んでみたら、透明感があって薄く見えるのに、しっかり風味があって、雑味がなくて、確かに美味しい。 サードウェイヴ系が先駆けとあって、なんかファンシーなものかと思ったのですが、リサーチしたら、要は水でゆっくり出したコーヒーのこと。 家で、作れそう。と思って、作ったら、本当に簡単でした。:*:・( ̄∀ ̄)・:*: うちの3点セットです。
  元々、アイスコーヒーはエスプレッソを淹れて、氷にぶちまけるスタイルだったので、水出しでも迷わず、豆は深煎りのエスプレッソ仕様を使っています。 お茶や出汁を入れるパックを使うことを考案した人、賢いですねー。 家にある分がすぐになくなりそうだったので、日系スーパーのサンライズ・マートに直行。わかりづらい場所にあったので、なかなか見つからず、 「私、サンライズでこんなに本気を出したことない」 っていうくらい、本気で探しました。見つけた時は、嬉しかったー。 ストーブトップのエスプレッソ・マシーンの感覚で、豆と水の分量を決めたら、濃く出てしまって。結果、750mlの水に、山盛り大さじ2杯のコーヒー豆が適量のようです(ええ、大雑把な性格なんです)。冷蔵庫に置いておく時間は12時間くらいが、私は好きです。 それから、コーヒーは、「with milk, no sugar」派で、飽きないように牛乳のほかに、豆乳かアーモンド・ミルクを常備しているのが、コールド・ブリューのアイスコーヒーは断然、ブラックが美味しいので、夏季限定ブラック・コーヒー派になりました。 近所のアトランティック・アベニュー沿いにも、カフェでもないのにコールド・ブリューのアイスコーヒーを店先で売っているお店が2軒もあった理由がわかりました。 豆をたくさん使わなくていいので、利幅が大きいハズ。 メイソン・ジャーを使ったのは、スタバがやっているから。目にも涼しげで、美味しそうに見えるので気に入っています。 ちなみに、メイソン・ジャーも日本で流行るまで、とくに名前も気にしないで使っていました。パスタのソースが入っています。ニューヨークで流行っている、と日本で喧伝されているメイソン・ジャーのサラダは、食べている人を見たことがありません。 コーヒー豆の量を調べるために、英語で「Cold Brew, DIY」でググったら、あら、びっくり。 こちらの人は、水に直接豆を入れて、飲む前に濾しているみたい。 時間かかりそうよね、それ。... Read More

アメリカお笑い事情。

眠る前に、忘備録的なブログを。 先週の土曜日、お友だちに誘われて、数年ぶりにコメディ・クラブに行って来ました。 コメディ・クラブは、10から20分の持ち時間で、4、5人のコメディアンが入れ替わりにスタンダップ・コメディを披露する場所。ニューヨークは入場料が良心的な設定で(客引きの人が大幅にディスカウントするケースもあり)、その代わり、ドリンクを2杯以上頼まないといけないシステム。 タイムズ・スクエアの周辺にあるのも特徴で、お客さんはニューヨークに住んでいる人より、他州や外国から来たツーリストの方が多い。 アメリカのお笑いは、『サタデー・ナイト・ライヴ(SNL)』や『MAD TV』みたいに、コメディアンがたくさん出てコントを見せるテレビ番組と、ひとりで喋りまくるスタンダップ・コメディーのどちらかで、やっているのはどちらも日本で言うところの「ピン芸人」のコメディアン。コンビやグループはなし。ノリとツッコミを全部ひとりでこなす忙しいスタイルです。 コメディ・クラブはもちろん、地方ではストリップ・クラブや音楽中心のナイト・クラブの余興として出演、キャリアを積み重ねて行きますが、クリス・ロックや故ロビン・ウィリアムズなどテレビや映画に出演する全国区のスーパー有名人になると、アリーナ・クラスの会場をソールドアウトにするので、アメリカン・ドリームを体現する仕事でもあります。性別も人種も関係なくたくさんいますが、ユダヤ系と黒人が強く、白人だとジム・キャリーのように貧しい育ちの人が多いようです。 うん、笑いには、反骨精神が必要なのですね。ネタは自虐と社会風刺、それからどちらにも被る人種ネタが圧倒的に多いです。私が行ったBroardway Comedy Clubも、アイリッシュ系の人から始まって、ユダヤ系がふたり、黒人がふたりでした。ユダヤ系のコメディアンは、賢い系とエグい系に別れる気がします。この日も、両方いました。エグい系の人は、下ねたもそうですが、観客をいじりまくった挙げ句、 「影で言ったら差別発言だけれど、目の前で笑ってやるのは自虐を含めてレイシストにならない」 と言い切ってました。まぁね、「○○系、あるある」な話ばかりで、本気でバカにするギャグはなかったので、それもそうかな、と。実際、ほかの人種の人と仲良くなるのに、自虐ネタは有効です。私も、「日本人だけど、計算弱いから」と、「外国人(私)にアメリカのこと教えてもらってるどうするの?」は、よく言うし、確実に笑ってもらっています。 ニューヨークの人より優しいツーリストが多いとはいえ、やはりブロードウェイ。笑いの質も高かったです。 私が大笑いしたのは: 「電話ではなく、スマホでデートに誘うようになってから、テキストメッセージではすごくセクシーなのに、実際会うと何も言えない奴が増えた。この間、女の人が隣にいるテキストで口説き続けている奴を見た」 と、黒人コメディアンの 「まぁ、俺らはやっぱりリズム感はいいよね。うちの婆ちゃんなんか、俺をベルトで叩くときの調子と音が、完全にグラディス・ナイトの歌みたいだった」 あ。文章だと面白さが全然、伝わらないですね。 日本のコントや漫才は設定がシュールになって行く「あり得ない話」が多く、アメリカはほぼ「大げさだけれど、“それ、あるある”な話」のように思います。憶測ですが、日本人同士は了解事項が多くて、1億総「あうんの呼吸」を求められるので、そこから逸脱させる話が面白い。いろんな人が居るアメリカは、お互いの基本を理解するのが精一杯で、その基本を面白く整理したり、際立たせたりするジョークがウケるのではないかな、と。 ひとり、ニューヨークらしく、はっきりと銃の規制強化をプロットに入れていた人がいたのですが、私たちの隣に座っていたサウス・カロライナから来た女子大生(すっごいかわいい)のふたりがブーイングしていて(つまり、彼女達は銃推進派)、ドン引きしました。 アメリカは、広いです。... Read More

デペッシュ・モードの究極のラヴ・ソング “Somebody”

近所のコーヒーショップで一杯飲んでいる途中に、デペッシュ・モードの曲が流れて来ました。 彼らは、80年代からずーっとずーっと活躍しているイギリスのグループ。中学生の頃、私は彼らの音楽が好きで好きで。いまでも好きですが、こちらでは大人気で、本気を出さないとチケットが取れません。 学校から帰って来て、ステレオに向かってペタン、と座って、ずっと聴いている時間も大好きでした。 一番好きだった曲をyoutubeで見つけたので、リンクと歌詞を紹介します。 なんで上半身裸かな。 Somebody-Depeche Mode I want somebody to share 分かち合える人が欲しい Share the rest of my life 残りの人生をずっと Share my innermost thoughts うちに秘めた思いも Know my intimate details 個人的なことも全部分かっていてくれる Someone who’ll stand by my side 僕に寄り添って And give me support それで 支えてくれる And in return お返しに She’ll get my support 僕も支えてあげる She will listen to me 耳を傾けてくれるんだ When I want to speak 話したくなったときはいつも About the world we live in 世界情勢とか And life in general 人生のこととか Though my views may be wrong 僕の見方は間違えているかもしれないし They may even be perverted 曲解さえしているかも She’ll hear me out それでも最後まで聞いてくれる And won’t easily be converted でも 簡単には影響されない To my way of thinking 僕の考え方にね In fact she’ll often disagree それどころか 彼女はよく反対を唱えるんだ But at the end of it all でも 最後には She will understand me 必ず僕を理解してくれる I want somebody who cares 気にかけてくれる人が欲しい For me passionately 僕のことを 心から With every thought and 一生懸命考えてくれて With every breath 全身全霊で Someone who’ll help me see things 物事をはっきり示してくれるんだ In a different light 違う観点から All the things I detest 僕が忌み嫌っている事柄さえ I will almost like いやでなくなるように I don’t want to be tied 縛られたくはない To anyone’s strings はっきりした関係に I’m carefully trying to steer clear of 注意深く絡めとられないようにしている Those things そういう約束事にね But when I’m asleep でも眠っているときは I want somebody 誰かにいて欲しい Who will put their arms around me 僕を抱きしめて And kiss me tenderly 優しくキスしてくれる Though things like this こういう考え自体 Make me sick げんなりする In a case like this これが現実になったら I’ll get away with it きっと僕は逃げ出すんだ Songwriters: Gore, Martin Somebody lyrics © EMI Music Publishing, Sony/ATV Music Publishing LLC この曲が大好きだった中学生って、どれだけ暗かったんだって言う(^_^;) カセットテープが伸びるんじゃないか、って勢いでくり返し聴いていたのに最後のオチ、 「理想の人が現れたら、きっと僕は逃げ出す」 が分かっていませんでした(まぁ、子どもには分からない心情です)。ずっと、自分に似た誰かを探している曲だと思っていたの。 いまは、情けない最後のラインまで強く共感してしまう……忘れていたけれど、たぶん、この歌詞がずっと心の奥底にあった気がします。 一つだけ変化があって。昔は背伸びをして、曲の男性を自分に置き換え、「こういう人がいい」と探す立場だったのが、いまは、この曲で歌われているような女性になりたいなぁ、と。ちゃんと話を聞いて、でも流されないで、理解できる「誰か(somebody)」であるのが目標です。... Read More

紅白のアナ雪コーナーを沸かせたイディナ・メンゼルさんって、こんな人。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします(遅っ!) 今年は暖冬かな、と思っていたら、来ました、氷点下9度。うー、寒い。脳天までキリッとする感じで、きらいではないですが。 下心見え見えのタイトルで、ごめんなさい。紅白歌合戦、きちんと観ていないのに。海外に住んでいると、紅白は「努力して観るもの」。私はその手の努力が足りなく、お正月休みに努力をする人の家にたまたま居たときだけ、実現します。その率たるや、10%以下。 昨年がその「たまたま」の当たり年で、おせちを前に「よし、キャッチアップするぞ」と、意気込んだのですが、最近の紅白は常にたくさんの人数がステージ上に立っているんですねー。びっくり。あ、じぇんじぇんわかんない、とあっさり玉砕。ひと昔前のウータン・クランか、ディプセットのコンサートかと思いましたよー。取り巻きがみんなステージに上がって、誰がマイクを握っているのか目を凝らさないといけなかった時代の。 ダメついでに白状すると、元旦にやっと「アナ雪」こと『Frozen』を見ました(おーい)。 言い訳。『Frozen』はアメリカでも前評判が高く、公開直後に友だちとその子供たちと一緒に行くはずだったのが、急用ができて私だけ行けず。どんなに人気でも、アメリカではディズニー映画は「子ども向け」。大人同士で行くのは珍しいです。アメリカ人と映画館に行って、「これ観たい」と言おうものなら、真っ白い目で見られること必須。フライト中に見ようと思っていたのですが、当たらなかったんですよねー。そうそう、日本で空前の大ヒットになっていることが、逆にこちらでニュースになりました。 感想。ディズニー・マジック満載で魅き込まれました。が、アナの雪山行きに王子が同行しなかった時点で、「あ、こいつ偽物」、真実の愛とのキーワードが出て来た時点で、「正解は姉妹愛」と先を読んでしまって、ドキドキ感は足りず(悪いクセです)。プリンセスものを見に行ったはずが、ほとんどカエルの冒険が中心だったのが逆にツボにハマった『プリンセスと魔法のキス』の方が好きだったかなー(少数派だと思います、ハイ)。 なんか、私のズレっぷり大公開になって来ましたが、ズレているついでに珍説を披露します。 「日本のアナ雪人気の遠因のひとつに、姉妹の異常なデカ目もあるんじゃない?」 という。3Dのせいか、いつものディズニー・キャラより絶対に大きい。姉妹の顔の半分が、目。顔が子どもみたいで体が大人という点が、日本のアニメに近いと思うのですが、どうでしょう? カラコン&つけま/まつエク大流行りで、「目は大きければ大きいほどよし」という風潮にもピッタリなのかなぁ、と(私は見慣れるまでちょっとかかりました)。 もちろん、作品のクオリティーの高さが大前提ですが、日本での人気が本国を上回ったのは、何かしら理由があるように思います。 えー、本題に入りましょう。 エルサの声優さんで、「レリゴー」のオリジナル・ソングを歌った、イディナ・メンゼルさんの『クリスマス・ウィッシズ』用の取材で、10月に本人に会いました。 イディナさんは、ミュージカル好きなら知っている、ブロードウェイのトップ・スター。私は通ではないですが、ニューヨークに来て初めて見たミュージカルが、たまたま彼女の出世作の『レント』だったため、会えて感激でした。『レント』はその後、ロングランになって日本でも上演されたらしいので、知っている人も多いかな。当時は、エイズやドラッグ・クィーンを扱った新しいタイプのミュージカルとして、大ニュースになりました。 取材前にリサーチしたら、元ダンナさんが俳優のタイ・ディグス。これは、知らなかった。彼も『レント』に出ていたそうですが、注目されたのは映画『ステラは恋に落ちて』からでしょう。あの映画の不自然なジャマイカ訛りこそ叩かれましたが、説得力のある演技をする人で、いまではポスト・デンゼル・ワシントンの筆頭株、カッコいい大人の黒人俳優という括りでは上位につけています(要するに、イケメン俳優さんです)。
  イディナさんの取材はテレビ用。音楽的に込み入った話はしませんでしたが、とてもいい人というのは伝わって来ました。話し声も歌声に負けないくらいステキ。無事に取材が終わり、休憩に入ったところで、ワーナーの担当O氏が、さらっと 「年末の予定は?」 と斬り込み開始。イディナさんクラスになると、アメリカのおっかないいかにも仕事ができそうな部長さんクラスが同席しているので、チャンスだったのでしょう。「あ、紅白だ、Oさん行ったーーーーー」と私も静かに興奮して、“That’s a REALLY REALLY BIG DEAL in Japan”と部長さんに言って、後ろから旗ふり。「あら、そうなの、スケジュールはどうだったかしら?」とマネージャーさんに確認するイディナさんが、やる気を見せつつ、ガツガツしていなかったのが印象的でした。 実現してホントに良かったです(何の役にも立っていませんが)。その部分はyoutubeにあったので、見られました。さすがのパフォーマンスでしたよね。 取材の翌日、イディナさんが主演を務めた『If/Then』を観劇しました。
  ミュージカルにしては、ストーリーが複雑。人生をリセットするためにニューヨークに戻って来た女性がふたりの男性に言い寄られ、選んだ相手によって対照的なふたつのストーリーが平行して展開する構成。見終わったあとに色々と考えさせられる、深いミュージカルでした。ブロードウェイに立つ役者さんは相当な歌唱力の持ち主ばかりですが、その中でもイディナさんの歌は圧倒的で、しばらく「ブロードウェイの女王」の肩書きは揺るがないだろうな、と思いました。 上演後、イディナさんの楽屋を訪問。役得です。ブロードウェイの劇場の裏を行くのは、『ライオン・キング』に続いて二度目で、スペースがないのは知っていたので、イディナさんの部屋がリビング・ルーム仕様になっていたのは、驚きました。かわいい息子さんとの大きな写真が飾られ、その下に白いソファーがあって。これが、ブロードウェイの頂点かぁ、と、ほぉーっとなりました。私たちの次に、人気ドラマ『Modern Family』の長女役で人気を博しているサラ・ハイランドさんも楽屋を訪問をしていました。すっごい小顔で、可愛らしい人。
  記念写真。右端は、フジテレビのアナウンサー、阿部千代さんです。お芝居が好きで、よく観劇しているそうで、『If/Then』の感想も、「なるほど!」ということを仰っていました。 『クリスマス・ウィッシズ』の話も。マライア・キャリーやホィットニー・ヒューストンを手がけた、ウォルター・アファナシェフが全面プロデュースしているだけあって、スケール感のある作品に仕上がっています。アメリカでは、クリスマス・アルバムを出せるのは、実績のある人だけ、という不文律があります。エルサ役で注目を浴びたタイミングで取り組んだのは、大正解でしょう。クリスマス前は、スタバの店頭でも見かけましたよ。
  クリスマスは終わりましたが、まだまだ寒いですし、長く聴ける作品なので、まだの人はぜひ。... Read More