2021年最強(凶)R&Bアルバム ジャズミン・サリヴァン『Heaux Tales』全曲解説

『Heaux Tales』=『ホー・テールズ』。珍しい表記に読み方を迷い、合点がいってから2度見、3度見。ジャズミン・サリヴァン、ぶっ飛ばしてきたな。heaux、 whore、 ho、ホー。ヒップホップ・カルチャーを知っている人にはおなじみの「本人以外は言っちゃいけない単語」です。3種のつづりで書いてみたものの、私は会話で使ったことはありません。「bitch」のもっと激しいヴァージョン。性悪の意味もあるbitchとはちがい、まずはセックスにかんする言葉です。... Read More

『シルク・ソニックとの一夜』全曲解説+さらに楽しめる7つのポイント

ブルーノ・マーズが好きです。アンダーソン・パークが好きです。当然、シルク・ソニックはユニット名を聞いただけでパァアアっと目の前が明るくなるくらい、好き。今年の2月末からそれはそれは楽しみにしていた作品が届きました。11月12日、予定どおりリリースされて両手のひらを握りしめてガッツポーズ。もう、最高すぎて金曜日から気もそぞろ。やっと方向性が固まったくせ毛の本(内容は日本以外の多くの国でほぼ常識になっている手入れ法についてです)に集中するための週末だったのに。... Read More

ネイオの3rd 『And Then Life Was Beautiful』がすばらしい

秋はR&Bが似合います。最近リリースされたアルバムのうち、スーパーヘヴィロテで聴いているのがNao『And Then Life Was Beautiful』。字面だけで「ナオちゃん❤」と呼びたくなるけど、「ネイオ」です。本国イギリスでは2016年のファースト『For All We Know』からずっと話題になっているシンガー。一度聴いたら忘れられない、鼻にかかった高い歌声が何とも言えずすてき。声自体が甘いから、少し辛辣な歌詞を歌うと自動的に「甘辛ミックス」になって最高なのです。もしかしたら、日本では「アニメ声」と言われる類なのかな? ちがうか(←わかってない)。... Read More

メアリー・J.ブライジとボーイズⅡメン、T-ペインのドキュメンタリー3本を紹介

 雷つづきで無駄にドキドキする今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今回はアマゾン・プライムのメアリー・J.ブライジのドキュメンタリーと、ネットフリックスの『This Is Pop〜ポップスの進化』のボーイズⅡメンとT- ペインにフォーカスした回の話を。... Read More

Weekly Recap 5.6-5.14

 今週はきちんと1週間(とちょっと)でRecap (再生)できそうだー。えらいな、自分。今週はレゲエ・ウィークでしたね。5月11日のボブ・マーリーの命日にJ-WaveのSonar Musicに呼んでいただいた2日後に、Spotifyの公式ポッドキャスト『Poplife』のレゲエ特集が公開されました。ラスタファリズムの説明があいかわらず下手だなぁ、との反省がムクムクともたげている最中。このブログでは、SWV対Xscapeのverzuz対決、タリブ・クウェリがまさかの大炎上中、チャートでは『Khaled Khaled』よりロッド・ウェイヴ『SoulFly』推しという話と、と最近のお仕事の宣伝をしますね。... Read More

ジャスティン・ビーバー 『Justice』全曲解説

「ジャスティンは、アーバンです!」。2012年11月、ジャスティン・ビーバー「Believe Tour」のニューヨーク公演にレコード会社さんに招待された際、耳にした言葉です。音楽ライターとしての守備範囲がちがったのでお役に立てないかも、と迷った末、「私、アーバン系のライターなので‥」とやんわり辞退しようとしたら、担当者さんが言い切った。そのとき、私はつい吹き出してしまったんですよね。アッシャーが見初めてデビューにこぎ着けた逸話は知っていたものの、当時のジャスティンの人気ぶりは、本来、アメリカには存在しないアイドル的なものだったから。... Read More

マライア・キャリーの自伝『The Meaning of Mariah Carey』が邦訳されるべき6つの理由

「マライア・キャリーは、黒人である」。これを読んで驚く、日本のファンはまだ多いでしょうか。正確には、アフリカ系の父と、アイルランド系の母をもつ、バイレイシャル––「ハーフ」という言葉は少しネガティブな響きを含むので、私は「バイレイシャル」が定着してほしいです––つまり、ふたつの人種に属する人で、  先日、全豪オープンを制した大坂なおみ選手や、バラク・オバマ元大統領もそう。昨年の12月に発売以来、ファンの間で大反響を巻き起こしている自伝『The  Meaning of Mariah Carey』(直訳;マライア・キャリーの意味 意訳;マライア・キャリーであること)は、その前提をまず頭に叩き込んで、彼女の子ども時代の苦労も、ヒップホップ・カルチャーへの思い入れも理解できる構成になっています。... Read More

Super Bowl の経済学;The Weeknd「自腹7億円」は不足分の補填、そして赤いジャケットの秘密。

The Weekndのスーパーボウル・ハーフタイム・ショー、観ました? よかったよね?  よかった、よかった、で済ませてもいいのだけど、いくつか付け足したいことが。地元タンパベイ・バッカニアーズがカンザスシティ・チーフスを降しましたが、The Weekndこと、エイベル・テスティファイにとっても「負けられない」夜でした。... Read More

3度めのメランコリー『Man of the Moon 3 ; The Chosen』「男の子でしょ、泣きなさい」と教えてくれたキッド・カディ

47.7才シリーズでNas『 The King’s Disease  』を書く準備をしていたのが、12月11日、キッド・カディが出発点である『Man of the Moon 』シリーズの3作目をリリースしたので、カディ応援団団長(自称・非公式)としては、こちらを先に。... Read More