アリシア・キーズx蜷川実花 “Girl on Fire”

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします m(..)m

仕事納めがしっかり昨年内に収まり、持ち越し分がなかったので久しぶりに年末年始ゆっくりしています。フリーランスは1日8時間、という働き方をしない分、丸1日何も仕事をしない日がないまま1ヶ月くらい経っちゃった、なんてコトもよくあるので、お休みは貴重です。もう2週間以上も経ちましたが、12月17日は2012年でもっともエキサイティングな月曜日、一生忘れない日になりました。

すでに報じられているように、写真家/映像作家の蜷川実花さんがアリシア・キーズの“Girl on Fire”の日本向けMVの監督を務め、ブルックリンのウィリアムズバーグで行われた撮影で、私は対談式のインタヴューの通訳を務めて来ました。デビュー作以来、『アンプラグド』以外はすべて取材していて何かと縁があるアリシアですが、こういう形で関わるのは初めて。蜷川さんは基本的に予めセットを組んで、あの極彩色の世界を作り出すのを知ったのも初めて。だから、作品が立体的で奥行きがあるのだ、と合点が行きました。コンピュータ・グラフィック全盛の時代だからこそ、職人技が光るのだなぁ、と。

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セットを組むスタッフ、撮影班、映像班、アリシアのスタイリストやメーキャップ・アーティスト、ヘアー担当の人などなど、総勢45名あまり。当然、日本人とアメリカ人が入り乱れていました。撮影専門のコーディネーター/通訳の方もきちんといて、私は出番少なめ。ハイ、こういうケースで大切な「ジャマにならないこと」を心がけながら、出番以外はムードメーカー的に(?)、いろんな人の話を聞いたり。勉強になりました。

何が凄かったって、色とりどりの華やかなお花のセットに、アリシアの美貌がぜーんぜん負けていなかったこと。登場時に静かな「オーッ」が響き渡り、ヘアメイクが終わった時もその場で声にならないため息が洩れました。なにしろ、1度目は広角レンズを回したために、頭でっかちになっても気がつかないくらい顔が小さい!本人に「これ、ずっとこのバランスで撮るの?」と言われて、やっと気がつきました。仮に私があのレンズを使って撮られたら、ドラえもんになっていたでしょう。

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アリシアの熱心なファンだとおっしゃっていた蜷川さんも真剣ながら楽しそうで、とてもいい現場でした。大物なのに、気さくなのは蜷川さんもアリシアも同じ。 用意されていたランチが足りなかったのか、スタッフ用のスナック(ヘルシー系でしたよ。ランチもベジタリアン向けのファラフェルだったし。NYっぽかったです)を覗きに来たアリシアと雑談をしました。

その日は、起き抜けにCaribbean Feverのために来ていたソカ・クィーン、アリソン・ハインズのマネージャー/サラーム・レミのパパ/私のメンター、ヴァン・ギブスから「Junior’sに集合!」という電話があり、子分の私は2ブロック先のランドマーク・レストランに馳せ参じました。このおとーさんは、NYに来る度に知り合いを集めて、ご飯を食べながらいっぺんに話を聞く機会をもうけるのですが、たまたまNYにいたサラームは残念ながら欠席。

解説すると、“Girl On Fire”をプロデュースしたのはジェフ・バスカーとサラーム・レミなんですね。その日の朝に、「あの曲はグラミーでノミネートされるべきだった!」と話していたところで。それをアリシアに伝えると、「まぁ、一番大事なことではないけれど」とふたりして言い合いながら(よく考えたら、センシティヴなトピックだったかも。汗)、サラームが何度もノミネートされているのに受賞は一度もしていない事実に「そうなの?」と驚いていました。エイミー・ワインハウスの時も逃しているんです、実は。「ノミネーション20回で、受賞1回分と交換できるといいですよね」ジョークを言ったら、「それ、面白いかも」と、あのきれいな顔で大笑いしていました。冗談が通じる美人、というのもポイントが高い。

白状すると、この日まで“Girl On Fire”はちょっとくどいかなぁ、と、とくに好きな曲ではありませんでした。毎日のように聴いている新作の中で気に入っているのは、ドクター・ドレー(信者なので、仕方ないです)が作ったヒップホップ・マナーの“New Day”と、ほぼ真逆のタイプだけれど歌詞がすてきな“Not Even The King”。『Girl On Fire』のアルバム全体、おすすめです。肩に力を入れないで、ポジティヴな気分になれる作品。いまのアリシアの心境が反映されているんでしょうね。

いまは、たくさん思い出のある“Girl On Fire”も大好きな曲になりました。
結局、バークレー・センターであったCaribbean Feverの取材のために、撮影が終わる1時間ほど前に退散したのですが、なーんで日が重なるかな、と悔しかったです。最後まで、見ていたかった。出来上がりが、楽しみです。

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