昨日は役割がひっくり返って、コロンビア大のカレッジ・ラジオ局からインタヴューを受けました。テーマは「なんで日本人はそんなにレゲエが好きなのか?」
「レゲエ好きが高じてNYに移り住んだ日本人」というのがテーマだそうで、大学院でジャーナリズムを先攻しているリンジーさんと電話で話してから、自宅まで来てもらい、40分ほど歓談。80年代からレゲエのアーティストの招聘が始まり、『レゲエ・マガジン』の前身である『サウンド・システム』が創刊され、レゲエ専門のレコード・ショップがあちこちに出来て、ジャパスプを始めとするレゲエ・フェスが90年代の初めに最盛期を迎えるものの、レゲエ系ではないプロモーターも参入して市場が荒れ、ジャマイカのアーティストの値段がアップ(おまけに態度も特大に)、それなのに世の中は不景気になって大型コンサートが成り立たなくなり、そうこうしているうちに日本人のレゲエ・アーティストの市場がしっかり育って、「レゲエが好きなら本場のジャマイカ行こうぜ」な動きが定着し……。
みたいな話をしたのですが、昨年のヴィレッジ・ヴォイスの記事を見てヒントを得たらしい彼女の焦点は、「レゲエ好きが高じて、NYまで移住した人たち」とのこと。難しいのは、レゲエが好きなだけで移住して、そのまま長く居続けた人はあまりいないのでは、ということ。もちろん、動機の一つで、結果的に仕事として関わっている人はいるだろうけれど、いわゆる「レゲエ修行」で来る場合はあくまで日本に帰ってからの活躍が目的で、だいたい1、2年で帰っちゃうし(ジャマイカに行く人もそうかな)、そういうテーマに沿う人ってたくさんいるのかな、と。
「日本人はどうしてそんなにレゲエが好きなのか」
という耳にタコができるほど聞いてきた質問に対しては、
「答えが分かったら、ぜひ私にも教えて下さい」
が私の答え。レゲエに限らず、鎖国~文明開化以来、日本は外の文化に対して開化しっぱなしというか、とことんマネしてから独自のスタイル/製品を作るのは「国民総凝り性」なところによるとは思うのですが、レゲエの根強い人気の理由だけはね、ピン・ポイントでは答えられないでしょう。
レゲエが持つ郷愁の念が同じ島国の日本人にしっくり来るのもあるのかな。あと、リンジーさんと話しているうちに、ちらっと思ったのは、ロックやヒップホップなど、いわゆるメイン・ストリームの流行りものは、大きなメディアからトップダウンで流れて来て、いち個人はあくまで受け手としてコンサートに行ったり、CDを買ったり、という「消費者/遠いファン」の立場でいる以外ないでしょう。それが、レゲエだとけっこうカンタンにアーティストとやり取りできるし、ジャマイカに行けばあちらのシーンの一部になることも可能だし、サウンドマンだったら音の流行も作れるし、「ファンであって参加者でもある」という身近な感じ、「インタラクティヴ性」も魅力のひとつではないかと。
そっかー、と自分で納得して、やる気が出て来ました。