日曜日に、’Beats, Rhymes & Life: The Travels of a Tribe Called Quest’ を観てきました。
98年に解散したヒップホップの名グループ、ア・トライブ・コールド・クエストのドキュメンタリー映画。前評判が高く、期待していたのを裏切らず、気の利いたアニメから始まり、子供時代を振り返り、多くの関係者がコメントし…と多角的にグループの功績と軌跡を描いて行きます。焦点は、あれほどすばらしいヒップホップを生み出したグループが、キャリアの頂点でなぜ解散したのか、という点。
理由はグループの解散の理由No.1、音楽的/性格的な不一致。ATCQの場合は、二人のラッパー、Q-Tipとファイフの仲違いが大きかったようです。幻のメンバーと言われたジャロビも、生来、もの静かなアリ・シャヒード・モハメッドもどちら加勢するともなく、グループからの離脱や、解散は決して悪い選択ではなかった、と淡々と語ります。
当事者のふたりはもっと感情的。08年のRock The Bellツアーでの喧嘩も映し出され、そこはファンとしてあまり観たくなかった、というか、外の人に見せるべきではなかったシーンだったように思います(おそらく、この場面が原因で、映画を撮るのに同意したグループは完成作を支持しておらず、プロモーションもしていません)。
深刻な糖尿病を患っているファイフの顔が、時期によって明らかに大きくなったり小さくなったりするのも辛く。病気のこともあり、監督のマイケル・ラッパポートがファイフの肩入れしている、というレビューも見受けられました。
私は、Q-Tipの取材を2回(長くなるから書きませんが、どちらも残念な思いをしました)、ファイフはコーディネーターの仕事で一回会っています。その時の印象で、「Q-Tipは相当難しい人」と思っていたのですが、昨日、ほかの仕事で彼らをよく知る人と話した際、「どっちも相当ひねくれている」と言っていたので、幼なじみ同士の、限りなく兄弟喧嘩に近い仲違いだと思った方がいいようです。
最後はいくぶん明るいトーンで終わるのが救い。でも、アルバム一枚全部作ることはなさそうです…。
日本でもちゃんと紹介されるといいな、と思います。