レゲエの勉強に役立つ本、ベスト5

先週は、ターラス・ライリーのインタビュー記事を書いて、改めて「ロックステディとは」とか、ずーっと考えていました。楽しくも、出口が見えない時間でした。本棚から、レゲエ本コレクションを引っ張り出してもみたり。

ドーン。

 

大型本はうまく重ねられなかったので、写っていません。
「いけしろ、こんなに読んでいるんだぜー」が、主旨ではないです。

白状すると、英語の本の2冊は未読です。いわゆる、積ん読。最近は、ダウンロードするだけして、そのままになっている本もあって、「ダウンロー読」という言葉を考えついたり。

ここでおすすめ本を紹介しつつ、自分自身にも「途中になっている本をマジメに読みたまえ」と喝を入れようかな、と。今年は、リー・ペリーの本を読了したいです。

はーい。レゲエの勉強に役立つ本、勝手にベスト5、行ってみます。
第5位 『ダンスホール・レゲエ・スタンダーズ』(Tokyo FM出版)

 

大石始さんが監修した、ダンスホールの入門書です。多角的な切り口で、レゲエの概要、アーティストと代表作の紹介などが掲載されています。
第4位『ルーツ・ロック・レゲエ』(シンコー・ミュージック)

 

こちらは、鈴木孝弥さんが監修した、ルーツ・レゲエにフォーカスした本です。500枚以上を一気に紹介。ジャケ写を眺めていると、90年代の西新宿のレコード屋さんにタイムスリップした気になれます。

第3位『定本スクラッチ・ペリー』(リットー・ミュージック)

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これも鈴木孝弥さんの監修。世界でも稀に見る、丸ごと1冊リー・ペリーという、ムチャクチャな本です(こういう資料本を作るのは、イギリス人かドイツ人か、日本人です)。ムチャなのですが、それで成立するのがリー・ペリーがリー・ペリーたる所以。私も参加させてもらい、アルバムの割り振りから細かくて、孝弥さんと担当編集者の服部さんのヤル気というか、鬼気を感じまじた。根がテキトーなイケジローは、編集サイドからの激しい突っ込みに途中で「もうムリ」と音を上げそうになったりも。ジャマイカでマックス・ロメオを見た翌日に、『War Inna Babylon』の原稿を書いたのは、いい思い出です。ペリー爺の作品に星をつけるという大胆不敵な役割を担ったせいか、ライター陣も鬼気と嬉々が入り交じったハイ・テンションな原稿が多い。エラい濃い本なので、体調のいいときに読んで下さい。

第2位『ベース・カルチャー レゲエ~ジャマイカン・ミュージック』(シンコー・ミュージック)

 

1位と2位はだいぶ迷いました。イギリスのロイド・ブラッドベリーの著作で、翻訳は『レゲエ・マガジン』のメーン・ライターだった高橋瑞穂さん。ちなみに、アメリカではタイトルが変わって『This Is Reggae Music』になります(最初の写真の一番下)。たぶん、いま出ているレゲエの歴史を追った本の最高峰でしょう。丁寧で、偏りが少ない。この本の日本版があるのは、ほとんど奇跡なのです。あとで出て来る『ディ・レゲエ・ブック』の話をしたとき、出版社さんから翻訳の相談があったのですが、原文が装飾の多い、クセのある文体で、ゆっくり読み進めたくらいだったので、「そうですねー」と言ったまま逃げました。この難行を高橋さんがやってくれて、本当に良かったです。ぜひ、手に取ってみて下さい。

第1位『ルーツ・ロック・レゲエ』』(シンコー・ミュージック)

 

これも鈴木孝弥さんの監修。「ほかにレゲエの本をまとめる人はいないのか?」という感じですが、孝弥さんは文章力、洞察力、編集能力すべてにおいて高水準なので、「それでいいのだ」とバカボン・パパみたいなオチになります。きちんとした本を1冊作るのは、気が遠くなるような作業で、それをやり抜く根気も必要。この本は、アルバムではなく、重要人物と重要事項を網羅していて、資料価値が高い。私も原稿を書く時に「あれ、どうだったっけ」と参照にしています。『レゲエ・マガジン』のインタビューの再録もあり。私はコラムでちらっとだけ参加しています。

おまけの番外編。『ディ・レゲエ・ブック』(シンコー・ミュージック)

 

私の本です。2冊しか持っていないので、あと何冊か買い取ろうと思って編集部に連絡したら「もうないです」と言われました。つまり、絶版(涙)。本と雑誌の中間である、ムックという形を取って、流通に期限があったのから仕方ないのですが。8000部刷って、7000部くらいは売れたようです。出版社さんに迷惑がかからなくて、良かった。文章も写真も全部、イケジローというこれまた無茶な本です。おまけだったはずの「45の作り方」というおバカな体験談が思いのほかウケ、いまでも「読みました!」の次に言われるのは、大抵そのページです。

ベスト5はあくまでも私が入手できた本から選んでいて、ほかにもあると思います。手元になくて紹介できませんが、ほかにリー・ペリーの自伝と、デヴィッド・カッツの『ソリッド・ファンデーション』が森本幸代さんの翻訳で日本語版があります。スカとロックステディの本で、なんと3回も再版されている山名昇さんの『ブルー・ビート・バップ』も名著ですね。

本、嫌いだしー。勉強、嫌いだからレゲエが好きなんだしー。

という人もいるかな、と思います。でも、旅行にいくとき、ガイドブックがあった方がずっと充実して楽しいでしょ。これらのレゲエ本も、同じだと思うの。情報があった方が、音に向き合うときに深く入って行ける。とりあえず、手元において、気が向いたときにパラパラ読むのも楽しいです。

紹介した本がまだ流通されているかちょっと分からないのですが、本屋さんになくてもレコード・ショップや、インターネット、古本屋さんで見つかるかもしれないので、「レゲエをもっと知りたい」という人は、探してみて下さい。

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