Wayne Marshall 『Tru Colors 』全曲紹介

おーい、俺のセカンド・アルバムが出たぞー。みんな聴いてくれぇー!

(歌っているとき、ちょっとデニス・ブラウンに似て来た気がします。←伝わる人少ないだろうけど)
とは言ってませんでしたが、いま、ウェイン・マーシャルがそういう気持ちでいるのは100%当たっているので、援護射撃します。パンパンパンパンパン。
だって、前作『Marshall Law』から10年ぶりよ。同じ年に生まれた子どもは小学3年生よ。

まずは、復習。これだけは抑えておこう、ウェイン・マーシャルの基本情報。

1.02年頃にバウンティ・キラー率いるアライアンスの一員として出て来たシングジェイで、マイナー調がよく似合う厚みのある歌声がウリ。最大のヒットは<ディワリ>リディムの“Over Come”。

2.実はアップタウンの出身。西インド諸島で一番、由緒正しいWolmar’s Boy School(高校です)を卒業。お嫁さんのタミ・チンも似たような育ち。当然、義妹は去年、『The Voice』で優勝したテッサン・チンで、タミちゃんと仲良く応援VTRや客席に座って応援していた。

3.2011年、ダミアン・マーリー率いるゲットー・ユース・インターナショナルに正式加入。近年、プロデューサー熱が高いダミアンがまとめたコンピ『Set Up Shop』の次がこの『Tru Colors』という位置づけ。

彼が出て来た00年代前半を振り返ってみると、 ヴァイブス・カーテル 、アサシン、ビジー・シグナル、マヴァードとキャラクターと音楽性が立った人気者がガンガン出て来て、どちらかと言えば、いいコちゃんキャラのマーシャルは割を食った気がします。ここに来て、ダミアンといい曲をたくさん作っているのは嬉しい限り。

アルバム、いいですよー。曲の寄せ集めではなく、最初から最後まで通して聴いて、ストーリーがふわーっと目の前に立ち上がって来るところが気に入っています。では、全曲紹介、行ってみましょう!

(Intro) It’s On Now
「俺の成長を示したアルバム、本当の俺の色を見せた作品だ」と宣言するイントロ。抑えめのDJで痺れます。「レゲエをレペゼンしているけれど、R&Bやヒップホップも聴いているから、その要素も入っているんだ」とも。期待が高まります。

Tru Colors
タイトル・トラック。タイトルはR.E.M.(!)の“Losing My Religion”の一節から取ったそう(チュチュチュ~が口ぐせというのもある)。本物の友だちとは、という普遍のテーマを歌っています。「季節が変わるみたいに態度が変わるのが、お前の本当の姿」…おっと、手厳しい。でも、そういう人いるからなぁ。人気があるときだけ寄って来る人。損得だけ考える人。気の利いた肩書きがある人にだけ、いい顔する人。うん、要らない。

Go Hard featuring Assassin, Aidonia, I-Octane, Bounty Killer, Damian “Jr. Gong” Marley & Vybz Kartel
ダンスホール流ポッセ・カット、 人気者そろい踏み。去年のサンフェスでダミアンのセットでキラー番長と塀の中のカーテル以外が出て来て、華やかでした。トラックもタイトでカッコいいのですが……あんまりマーシャルの持ち歌に聞こえないのね、この曲。1ヴァースとコーラスしか歌っていないせいかな。気を吐いているダミアンの曲だと思っている人、多いかもしれません。

I Know
どレゲエだぜぃ。いまどきのルーツ・レゲエ(ダミアンっぽいです)。自分でヴァースもコーラスもできちゃう、シンガー/DJなマーシャルのいいところがよく出ています。決め台詞は、「お前は俺にはなれないんだよ。それが現実」。ヴィデオを作っているので、シングルかも。

On The Corner
人生訓ソング。道でお金をベグられた相手をよく見たら、子ども時代の友だちだった、とのキツい設定から始まります。「毎日、間違った選択をしていた結果、とんでもない差がついてしまったね」とバッサリ。「すごく才能あったのにな」との締めが切ないです。

Stupid Money featuring Assassin
子どもの声のコーラスで、否が応でもジェイ・Zの“Hard Knock Life”を思い出します。ヒップホップを自然に取り入れられる世代らしく、韻の踏み方、デリバリーがいい感じでダンスホールとヒップホップを行き来するのが聴きどころ。アサシンの声とのケミストリーも相変わらずで、うれしくなりました。

Longtime
最初に聴いて一発で気に入り、理由を分析して「あーーーっ」とウケてしまった曲。ソンマンのみなさんは(サウンド・レディースも)、とりあえずここで読むのを止めて、曲の中盤まで聴いて、一緒に気がついてほしいです。
…………ね。ウケるでしょ?

この曲、途中から懐かしの<Jonkanoo>リディム(Voice Mailの“Wacky Dip”とかカーテルの“I Neva”とか)になっているんです!  そりゃ、聞き慣れた気がするわけだわ。Jonkanoo 2.0って感じで、速度を落としてクールな仕上がりになっています。ドン・コルレオーニもクレジットされているのかな。セクシーに踊る女性に目が釘付けになっちゃっている内容。

Strike Dem featuring Capleton
ケイプルトンとウェイン・マーシャル、意外な組み合わせです。これが、とってもいい。二人とも声自体に「泣き」が入っているので、マイナー調がぴったり。クレジットが手元にないけど、ドラム・パターンを組んだのは、ダミアンだと思います。

Be On The Alert featuring Bounty Killer
ハイ、キラー番長、二度目の登場。アラサーっていうんですか、20代後半から30代前半のジャマイカのアーティストの番長への思い入れは並々ならぬものがあり、絶対に悪く言えない空気があります。マーシャルもダミアンも大のキラー好き。期待に応えて、キラー節が炸裂するこの曲は、私も大好き。番長と将校(マーシャル)が、誘拐されて性犯罪の犠牲になる子どもをテーマに、何とかしようと呼びかける社会派チューンです。

Nah Give Up featuring Tarrus Riley
ターラス・ライリーとウェイン・マーシャル、納得の組み合わせです。……なんですが、この曲は好き嫌いが分かれるかなぁ。途中まではふたりの歌唱力がガチンコでぶつかって聞き応えがあるけれど、ゴスペル調とも、ハードロックのバラード調とも言える大げさなクライマックスが……イケジローはちょっと苦手です。リベンジ・マッチに期待。

Go Harder featuring Baby Cham, Ace Hood & Waka Flocka
さらに「ハーダー」なリミックス。ヒップホップ界からエース・フッドとワカ・フロッカ、ダンスホールからはベイビー・シャムが登場。4人にケミストリーが感じられて、オリジナルよりしゅっとまとまっています。ワカは、いまさらな「ダッティ・ワイン」や、ソカの人気曲をパクって(曲名分からないので、誰か教えて下さい)「シャッシャッシャッシャッ!」ってやっちゃったり、若干イタいけれど。参加人数が少ないと、ちゃんとマーシャルの曲に聞こえるのが不思議です。

Success Story
「もっと成功したいぜ」と、いきなりバカ正直になっています。偉人の名前を連呼して、「俺も彼らに続くサクセス・ストーリーになりたい」と切々と歌い上げています。私にはあまりわからない心理なので、「そっかぁ」と思いながら聴いています。

In The End
地声がオートチューンがかっている人が、実際に使うとどうなるかが分かる曲(T.O.K.のアレックスも同じ声質で、「一人オートチューン」で歌ってもらったことがあります。なかなかオモシロかった)。せっかくテッサンが作詞に参加しているのに、聞き取りづらくてもったいないかも。締めにふさわしい、しっとりした曲。

…解説というより、感想になってしまいました(汗)。

嫁と義妹にも参加して欲しかった以外は、10年待たされただけある、充実したアルバム。このレベルの作品が年明けから出て来るあたり、2014年、なかなか幸先がいいです。ウェイン・マーシャルの歌唱力と表現力、ダミアン・マーリーのプロデューサー能力に改めて敬礼。マーシャルは、スティーヴンと一緒に、春に全米ツアーを予定しています。そちらも楽しみ。
最後に、最新のアー写でも。

 

みんなも聴いてみてねー!

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